組み込みソフトウェア開発の効率の良い学びかた ――組込みスキル標準(ETSS)からコーチングまで
● スキル基準フレームワークを理解する
スキル基準では,組み込みソフトウェア技術を整理する際に「スキル基準フレームワーク」というものを使用します.スキル基準フレームワークの例を図6に示します.フレームワークは,以下の三つの要素から構成されます.
- スキル・カテゴリ――スキルのカテゴリ分けを表す
- スキル粒度――スキルのカテゴリの深度を表す
- スキル・レベル――スキルのレベルを表現する
スキル基準フレームワークでは,スキル・カテゴリとスキル粒度を用いて,組み込みソフトウェア技術を分類します.そのうえで,各組み込みソフトウェア技術に対して,スキル・レベルを位置づけます.
広大な組み込みソフトウェア技術を整理する切り口として,最初に着目すべきはスキル・カテゴリです.スキル基準は,次の三つのスキル・カテゴリで構成されます.
- 技術要素――システムに組み込まれ,機能を実現するさまざまな技術要素
- 開発技術――組み込みシステム開発で用いられる技術(手法やツール)
- 管理技術――組み込みシステム開発を円滑に進行させるための管理で用いられる技術(手法やツール)
例えば,カー・ナビゲーション・システムを開発するプロジェクトでは,以下が一例として考えられます.
- 技術要素――GPS衛星データから座標を計算する技術
- 開発技術――多様な画面の操作仕様を統一して実現するソフトウェア設計技術
- 管理技術――多くの製品種別へ誤りなく対応する構成管理技術(ファイルのバージョン管理など)
どのような技術であろうと,この3種類に色分けが可能です.そして,このように分類すれば,組み込みソフトウェア開発に必要な技術を整理できます.なお,スキル基準Ver.1.0として,表1のように第2階層のスキル粒度まで定義されているので,参考にしてください(5).