組み込みソフトウェア開発の効率の良い学びかた ――組込みスキル標準(ETSS)からコーチングまで

山本雅基

tag: 組み込み

技術解説 2006年8月18日

● 自分のしごとをスキル基準と対応づける

 本稿を読んでいる読者の皆さんは,自分のしごとで必要とされている技術を,自身でスキル基準に対応づけることから始めるとよいでしょう.スキル基準フレームワークの表ができれば,現在,自分がどのような技術を求められているのかがひと目でわかります.三つのスキル・カテゴリのどこに入る技術であるかを,自分で表を作りながら意識するだけでも,ずいぶんと技術に対する見かたが深まります.なお,新入社員の皆さんは,スキル・レベルについては深く考える必要はないでしょう.皆さんに要求されるスキルは,「上司の指示のもとで実施できる」というレベルです.

 自分の担当業務の分析を行ったうえで,自分が携わっているプロジェクト全体でどのようなスキルが要求されているかを,上司や同僚とともに分析するとよいでしょう.そうすることで,プロジェクトにおける自分の位置づけが明確になるでしょう.開発技術が「プロセス」と対応づけられるので,工程の中における自分の位置づけも理解できます.すると,どこを勉強すればよいかが一目瞭然になり,とても勉強しやすくなります.「先輩はこのスキルを身につけているな」とわかったら,計画的に先回りして勉強しておくこともできます.このように,効率的に勉強できれば,しごとがますます楽しくなるでしょう.そして,しごとや勉強を通じて伸びていく自分のスキルが手にとるようにわかると思います.組み込みソフトウェア技術者としての誇りが自然に生まれます.

● 待たずに自分で始める

 ここで肝要なことは,まちがってもよいので,自分でスキル基準への対応づけを行っていくということです.「スキル基準の第3階層に何を書けばよいかわからない」とか,「会社の業務内容がスキル基準Ver.1.0の内容とそぐわないので,改訂されるのを待つ」といったセリフは,単なる言いわけに過ぎません.他人が作った細かく定義されたスキル基準Ver.Xを得たとして,あなたはそのすべてのスキルを獲得するつもりなのでしょうか? あなたは,どのようなエンジニアになろうとしているのでしょうか?

 私たちの時間は有限です.せっかく広大な組み込みソフトウェア技術の海を渡る海図をスキル基準Ver.1.0として得たのですから,その海図に自分たちの海の細かなようすを書き込むことは,あなたの責任で行うべきことです.それとも,混沌とした組み込みソフトウェア技術の海の中で,行き当たりばったりの勉強を続けるのでしょうか?

 さぁ,スキル基準によって"見える"化を推し進め,組み込みソフトウェア技術者としてのアイデンティティを確立しましょう.

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