組み込みソフトウェア開発の効率の良い学びかた ――組込みスキル標準(ETSS)からコーチングまで
● そうだ,勉強しよう
しごとに慣れてくると,欲が出てきます.「もっと新しい技術に触れたい」という欲求です.当時,マイコンは急速に発達していました.アセンブリ言語や割り込み処理,A-D変換,D-A変換など,しごとで使う技術をもう少しきちんと勉強したいと思いました.
しかし,ここでハタと困りました.社外のセミナは充実しておらず,課内で行われていた勉強会が唯一の教育の機会でした.そもそも,勉強するための教科書や参考書も,それほど数があるわけではありません.
かろうじて,CQ出版の「インターフェース」など,2~3の技術誌にマイコンやソフトウェアの技術解説が書かれている程度です(図1).これらを,むさぼるように読んでいました.
図1 組み込みソフトウェアれい明期の勉強(インターフェース,1981年2月号)
1981年2月号 特集「最新版・6809応用テクニック」
・位置独立型の6809セルフアセンブラ
・6809ソフトウェア開発システム
・6809用基本モニタ・プログラム
・6809ファミリLSI最新情報
・ステップ動作をソフトウェアで制御する方法
今も昔も,勉強熱心な技術者は,さまざまな手段で勉強している.当時,組み込み関連の雑誌は種類が少なかったのだが,最近では選択に迷うほど多くの雑誌が出版され,ずいぶんと勉強しやすい環境になっている.なお,1981年2月号はすでに絶版になっており,入手できない.