低コスト・低消費電力のカーナビ・システムを構築するためのハード&ソフト設計 ――拡張性のあるプロセッサ・ベースの開発プラットホーム作り

Paffen Matthijs

tag: 組み込み

技術解説 2006年3月 1日

● 拡張性に対応するにはプラットホームが重要

 ただし,国や地域ごとに使用する状況が異なるため,さまざまな要件がナビゲーション・システムに課せられることになります.これらの要件は,単に複数の言語や現地の地図を提供するということだけではありません.例えば,車が移動している間に新しい経路を選ぶことが法律で禁じられている国もあります.

 こうした仕向け地仕様のカスタマイズ,および低価格帯から高価格帯までのシリーズ展開に対応するため,拡張性のある開発プラットホームが用意されるようになりました.開発プラットホームを用いることで,自動車メーカ(または車載機器メーカ)はエンド・ユーザに製品を届ける直前までアップデートを行えます.同時に,自動車メーカは一つのハードウェア・プラットホームだけを使用すればよいという利点を活用することで,開発,検証,保守にかかるコストを削減できます.なお,ナビゲーション・システムのプラットホームには,いくつかの最低限の機能を搭載しておく必要があります.例えば,位置を取得するためのGPS(Global Positioning System),ユーザ・インターフェースとなるキーパッドやディスプレイなどは備えておくべきでしょう.

 音声や地図ガイダンス(矢印,矢印+地図)によって運転者は目的地に誘導されますが,こうした地図情報や経路計算値をCD/DVD-ROMや半導体メモリ(フラッシュ・メモリなど)に格納するナビゲーション・システムを「オンボード型」と呼びます.現時点では,市場の主流はこのオンボード型です.一方,GPRS(general packet radio service)などの無線通信を利用してサーバに接続して情報をやりとりする「オフボード型ナビゲーション・システム」と呼ばれるものもあります.

 開発コストを削減するには,記録媒体(DVD-ROM,ハード・ディスク装置,半導体メモリなど)やディスプレイ・サイズの選択も重要です.低価格帯のシステムでは,多くの場合,単純な音声と矢印ベースのナビゲーション(進路変更ごとの指示),小規模な地図を使用しています.高価格帯のシステムでは,2次元または3次元グラフィックスで地図を表示する5~8インチのカラー・ディスプレイを使用しています.

 システムの拡張性をさらに向上させるには,コネクタを介してハードウェアの一部を接続・交換できるようにしたり,ソフトウェアの更新によってシステムを再構成できるようにすることも必要になります.

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