低コスト・低消費電力のカーナビ・システムを構築するためのハード&ソフト設計 ――拡張性のあるプロセッサ・ベースの開発プラットホーム作り

Paffen Matthijs

tag: 組み込み

技術解説 2006年3月 1日

次に,85℃における静的電流(待機時の消費電流)は,次式で推定することができます.

  IDEEPSLEEP(85C)=IDEEPSLEEP(85C)×e0.015(T1-T0)

        =31e0.015(85-25)=76.24[mA]

 よって,85℃におけるデバイスの消費電力は以下のようになります.

  PDDINT=VDDINT(IDEEPSLEEP(85C)+IDDTYP_DYN(500MHz))

     =1.2×(76.24+159)≒282[mW]

 トランジスタのリーク電流を含めたとしても,85℃では1サイクル当たり564pW(=282mW÷500MHz)となります.

 本プロセッサにはオンチップ電圧レギュレータが搭載されています.この電圧レギュレータは,I/Oピン用として使われる外部電圧を内部電圧に変換します.変換効率は約75%です.そのため,プロセッサ内部の総消費電力についての要件は約376mW(=282mW÷0.75)となります.外部の消費電力はおもに能動部品によって決まり,静的電流は無視されます.すなわち,プリント基板上における消費電力は,スイッチング周波数,負荷容量,トグル比,稼働率,動作電圧などをもとに,次式で決定します(2)

  PDDEXT=VDDETX2×CL×f/2×O×TR×U

    ここで,PDDEXTはプリント基板上の消費電力,

    VDDETXは外部電圧,CLは負荷容量,fは動作周波数,

    Oは出力ピン数,TRはトグル比,Uは稼働率

 この式から導き出した結果を表2に示します.85℃におけるシステムとしての総消費電力は,デバイス内部の消費電力376mWとプリント基板上の消費電力176mWを合わせた552mWになります.ほかの構成要素や安全マージンを加味すると,3.3Vレールのレギュレータ回路を規定することができます.
 

表2 消費電力(3.3Vにおける推定値)

周辺回路
周波数
(Hz)
出力ピン数
負荷容量(F)
トグル比
稼働率
外部電圧
VDD(V)
消費電力
(mW)
CAN
1M
1
30p
1
0.05
3.30
0.01
SPORT0 Tx
オーディオ
1.411M
3
30p
1
1.00
3.30
0.69
SPORT1 Tx
オーディオ
1.411M
3
30p
1
1.00
3.30
0.69
SPORT2 Tx
オーディオ
1.411M
3
30p
1
1.00
3.30
0.69
SPORT3 Tx
GPS
40M
3
30p
1
0.05
3.30
9.80
PPI
27M
16
30p
1
0.25
3.30
17.64
TWI0
角速度センサ
100k
2
30p
1
0.25
3.30
0.01
TWI1
(I2C)
100k
2
30p
1
0.25
3.30
0.01
UART
デバッグ
115k
2
30p
1
0.00
3.30
0.00
SPIブート
20M
3
30p
0.5
0.00
3.30
0.00
SDRAM/
NAND
133M
36
30p
0.25
0.75
3.30
146.65
計176.19
組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日