低コスト・低消費電力のカーナビ・システムを構築するためのハード&ソフト設計 ――拡張性のあるプロセッサ・ベースの開発プラットホーム作り
次に,85℃における静的電流(待機時の消費電流)は,次式で推定することができます.
IDEEPSLEEP(85C)=IDEEPSLEEP(85C)×e0.015(T1-T0)
=31e0.015(85-25)=76.24[mA]
よって,85℃におけるデバイスの消費電力は以下のようになります.
PDDINT=VDDINT(IDEEPSLEEP(85C)+IDDTYP_DYN(500MHz))
=1.2×(76.24+159)≒282[mW]
トランジスタのリーク電流を含めたとしても,85℃では1サイクル当たり564pW(=282mW÷500MHz)となります.
本プロセッサにはオンチップ電圧レギュレータが搭載されています.この電圧レギュレータは,I/Oピン用として使われる外部電圧を内部電圧に変換します.変換効率は約75%です.そのため,プロセッサ内部の総消費電力についての要件は約376mW(=282mW÷0.75)となります.外部の消費電力はおもに能動部品によって決まり,静的電流は無視されます.すなわち,プリント基板上における消費電力は,スイッチング周波数,負荷容量,トグル比,稼働率,動作電圧などをもとに,次式で決定します(2).
PDDEXT=VDDETX2×CL×f/2×O×TR×U
ここで,PDDEXTはプリント基板上の消費電力,
VDDETXは外部電圧,CLは負荷容量,fは動作周波数,
Oは出力ピン数,TRはトグル比,Uは稼働率
この式から導き出した結果を表2に示します.85℃におけるシステムとしての総消費電力は,デバイス内部の消費電力376mWとプリント基板上の消費電力176mWを合わせた552mWになります.ほかの構成要素や安全マージンを加味すると,3.3Vレールのレギュレータ回路を規定することができます.
周辺回路
|
周波数
(Hz) |
出力ピン数
|
負荷容量(F)
|
トグル比
|
稼働率
|
外部電圧
VDD(V) |
消費電力
(mW) |
CAN |
1M
|
1
|
30p
|
1
|
0.05
|
3.30
|
0.01
|
SPORT0 Tx オーディオ |
1.411M
|
3
|
30p
|
1
|
1.00
|
3.30
|
0.69
|
SPORT1 Tx オーディオ |
1.411M
|
3
|
30p
|
1
|
1.00
|
3.30
|
0.69
|
SPORT2 Tx オーディオ |
1.411M
|
3
|
30p
|
1
|
1.00
|
3.30
|
0.69
|
SPORT3 Tx GPS |
40M
|
3
|
30p
|
1
|
0.05
|
3.30
|
9.80
|
PPI |
27M
|
16
|
30p
|
1
|
0.25
|
3.30
|
17.64
|
TWI0 角速度センサ |
100k
|
2
|
30p
|
1
|
0.25
|
3.30
|
0.01
|
TWI1 (I2C) |
100k
|
2
|
30p
|
1
|
0.25
|
3.30
|
0.01
|
UART デバッグ |
115k
|
2
|
30p
|
1
|
0.00
|
3.30
|
0.00
|
SPIブート |
20M
|
3
|
30p
|
0.5
|
0.00
|
3.30
|
0.00
|
SDRAM/ NAND |
133M
|
36
|
30p
|
0.25
|
0.75
|
3.30
|
146.65
|
計176.19
|