干渉を起こさない2.4GHz帯ワイヤレス通信を実現する ――ノイズ発生のメカニズムとDS-SSスペクトラム拡散方式による干渉の回避

Richard Kapusta

tag: 組み込み

技術解説 2005年5月26日

● コードレス電話が他システムに大きく影響

 2.4GHz帯のワイヤレス通信において3番目の大きな干渉発生源は,家庭用のコードレス電話です.こうした電話の中には,スペクトラム拡散方式としてDS-SS(direct sequ-ence spectrum spread;直接拡散方式),あるいは上述のFH-SSを採用しているものがあります.すべてのコードレス電話は,2.4GHz帯において大きなエネルギーを出力しており,別のRFシステムに対してノイズを発生する(つまり,「静かさ」を破壊する)可能性があります.

 図5(a)は,あるDS-SSコードレス電話の周波数スペクトラムを示したものです.この電話機が空中に出力するRFエネルギーの量を表す曲線の高さに注目してください.図5(b)図5(c)は,それぞれ500ms,10sの間に捕らえたFH-SSコードレス電話の周波数スペクトラムです.ここでも,これらの電話機からどれだけ多くのRFエネルギーが空中に出力されているかがわかります.

 さらに,電話機ごとにRFのスペクトラム特性が大きく異なっています.あるものは2.4GHz帯の一部分だけを使用し,別のものはバンド全体を使用します.これらの電話機がどのように動作し,ほかのRFシステムにどう影響するのかを予測することは非常に困難です.

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図5 コードレス電話の周波数スペクトラム
(a)は,スペクトラム拡散方式としてDS-SSを採用して動作している1台の(ホッピングしない)コードレス電話の周波数スペクトラムを示している.ピークの高さと使用帯域に注目してほしい.この種の電話は,同じタイミングで同じ周波数を使おうとするデバイスにとって大きな干渉の原因になる.この干渉を受けないようにする最善の手法は,単純にその存在を認識し,これを完全に回避することである.(b)は,FH-SSを採用したコードレス電話の周波数スペクトラムを示したもので,基地局ユニットとの通信に周波数ホッピングを使用している.このRF信号はBluetoothと非常によく似ているが,信号強度が一般にBluetoothよりも高い.周波数ホッピング方式の電話は,2.4GHz帯を使用するほかのシステムと衝突するが,データを効率的に受信側に届けるためにはデータの再送信で十分のはずである.(c)は,(b)と同じコードレス電話機を用いて,掃引時間を10sにしたもの.RF信号の出力が時間とともに変化している.これは,出力が一定しているBluetoothとは異なる特徴である.

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