干渉を起こさない2.4GHz帯ワイヤレス通信を実現する ――ノイズ発生のメカニズムとDS-SSスペクトラム拡散方式による干渉の回避
● コードレス電話が他システムに大きく影響
2.4GHz帯のワイヤレス通信において3番目の大きな干渉発生源は,家庭用のコードレス電話です.こうした電話の中には,スペクトラム拡散方式としてDS-SS(direct sequ-ence spectrum spread;直接拡散方式),あるいは上述のFH-SSを採用しているものがあります.すべてのコードレス電話は,2.4GHz帯において大きなエネルギーを出力しており,別のRFシステムに対してノイズを発生する(つまり,「静かさ」を破壊する)可能性があります.
図5(a)は,あるDS-SSコードレス電話の周波数スペクトラムを示したものです.この電話機が空中に出力するRFエネルギーの量を表す曲線の高さに注目してください.図5(b)と図5(c)は,それぞれ500ms,10sの間に捕らえたFH-SSコードレス電話の周波数スペクトラムです.ここでも,これらの電話機からどれだけ多くのRFエネルギーが空中に出力されているかがわかります.
さらに,電話機ごとにRFのスペクトラム特性が大きく異なっています.あるものは2.4GHz帯の一部分だけを使用し,別のものはバンド全体を使用します.これらの電話機がどのように動作し,ほかのRFシステムにどう影響するのかを予測することは非常に困難です.