つながるワイヤレス通信機器の開発手法(16) ――デバッグを行う

太田博之

tag: 組み込み

技術解説 2005年3月16日

1.検証抜けを起こさないシナリオ作り

 通信,とくに相手とのやり取りにシーケンスを持つものは,テストを確実なものとするためのシナリオを用意する場合が多い.シナリオは,テスト・パターンによくある英数字の羅列ではなく,人間にわかりやすい形で記述するとよい.人間にわかりやすく書かれたシナリオを複数の作業者でレビューし,検証抜けがないようにする.

 図5はシナリオの一つの例である.正常なシーケンスである図5(a)と比べて,図5(b)はB局がページング(呼び出し)を受信しないパターンである.A局から3回ページングを送信してもらって,ようやくB局からページング・レスポンスを返している.図5(c)はページングは1回で成功しているが,周波数情報の受信に失敗している(表1)

f05_01.gif
図5  シナリオ例
(a)は正常なシーケンス.(b)はB局がページング(呼び出し)を受信できないパターン.(c)では,ページングは1回で成功しているが,周波数情報の受信に失敗している.

表1 シナリオ・パターン

   
ページング受信
周波数情報受信
図5(a)
1回で成功
1回で成功
図5(b)
3回失敗後に成功
1回で成功
図5(c)
1回で成功
3回失敗後に成功
組み込みキャッチアップ

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