つながるワイヤレス通信機器の開発手法(16) ――デバッグを行う
● パターンの抜けを洗い出すシナリオ・マトリックス
検証方法についてここまで説明してきたが,これらの検証が成功するかどうかは,環境構築もさることながら,シナリオをどれだけ充実させられるかにもかかっている.シナリオに抜けがあれば,当然,起こりうる不ぐあいを再現できず,最終回路に不ぐあいを残すことになる.ここで役立つのがシナリオ・マトリックスとシナリオ・ジェネレータである.
シナリオ・マトリックスとは,表1のようにシナリオ・パターンを表にまとめて,事象に抜けがないかどうかを洗い出すものである.ここでは表1をさらに拡張し,表2のようなパターンを考えてみる.表1に比べると,かなり抜けが減ったように見える.しかし,例えば表2の中では3回の失敗を失敗パターンとしているが,実際には3回ではうまく行き,4回では不ぐあいが発生するパターンもありえる.シナリオ・マトリックスをこのように書き出すことで,考慮しきれていないパターンを洗い出せる.
表2 拡張シナリオ・パターン
ページング
受信 |
ページング・
レスポンス受信 |
周波数情報
受信 |
レスポンス
受信 |
|
1
|
1回で成功
|
1回で成功
|
1回で成功
|
1回で成功
|
2
|
3回失敗後
に成功 |
1回で成功
|
1回で成功
|
1回で成功
|
3
|
1回で成功
|
3回失敗後
に成功 |
1回で成功
|
1回で成功
|
4
|
1回で成功
|
1回で成功
|
3回失敗後
に成功 |
1回で成功
|
5
|
1回で成功
|
1回で成功
|
1回で成功
|
3回失敗後
に成功 |
6
|
3回失敗後
に成功 |
3回失敗後
に成功 |
1回で成功
|
1回で成功
|
7
|
1回で成功
|
3回失敗後
に成功 |
3回失敗後
に成功 |
1回で成功
|
8
|
1回で成功
|
1回で成功
|
3回失敗後
に成功 |
3回失敗後
に成功 |
9
|
3回失敗後
に成功 |
3回失敗後
に成功 |
3回失敗後
に成功 |
1回で成功
|
・
・ ・ |
・
・ ・ |
・
・ ・ |
・
・ ・ |
・
・ ・ |