つながるワイヤレス通信機器の開発手法(9) ――開発・検証環境を整備する
●高位の機能記述はシステム仕様書として利用できる
言語による設計のもっとも大きな利点は,記述の自由度が高いことである.さまざまな事象を,数式やアルゴリズムで記述してシミュレーションすることができる.また,言語によって機能を定義すれば,ソース・コードの随所にコメントを入れることで,そのソースをシステム仕様書として利用することもできる.
一方,自由度が高いがゆえに他人のソースを理解しづらいという欠点もある.また,設計言語の多くは,通信などの用途に特化しているわけではないので,ライブラリが整備されていない場合も多い.
従来,通信機器などの開発では,まずC言語を使って抽象度の高いモデルを作り,シミュレーションによって機能を十分にチェックしたのち,ハードウェアの部分をHDLを使って人手で記述し直していた.最近ではSystemCなどのCベース言語で記述し,HDL化せずにそのままビヘイビア合成ツールや論理合成ツールを使ってLSI化するフローが提案されている(図4).
〔図4〕設計言語によるシステム開発のフロー
これまではC言語を使って抽象度の高いモデルを作り,ハードウェアの部分をHDLでコーディングし直していた.これからはSystemCなどで記述して,そのままビヘイビア合成や論理合成を行ってLSIを開発できるようになると思われる.