つながるワイヤレス通信機器の開発手法(9) ――開発・検証環境を整備する
●PLIを利用してアプリケーションまで検証する
次にプロトコルを含めた検証について,Bluetoothを例に説明する.
Bluetoothは,アプリケーションを除いた場合,リンク・マネージャ(Link Manager)と呼ばれるソフトウェアと,ベースバンド(Baseband)と呼ばれるハードウェアに分かれる.したがって,Bluetoothとしての動作を検証するためには,ベースバンド(ハードウェア)+CPU(ハードウェア)+リンク・マネージャ(ソフトウェア)の三つを組み合わせて動作する環境を作る必要がある.
この場合も前述の検証と同じように,シミュレーションの段階から動作を確実に検証したい.そのために以下のようなしくみを構築する.
1)ベースバンド,CPU,メモリのHDLモデルを用意する
2)リンク・マネージャのソースをコンパイルし,リンクする
3)2)ででき上がったROMイメージのオブジェクトを1)のメモリ領域に置く
4)HDLシミュレータを用いて動作を検証する
この手法により,シミュレータ上でソフトウェアも含めたHDLシミュレーションが可能になる.
このシミュレーションを行うとき,CPUについてHDLのビヘイビア・モデルを使用すると,検証時間を短縮できる.ビヘイビア・モデルは,通常CPUを供給しているベンダが用意している場合が多い.この場合,ハードウェアで閉じた世界(Verilog HDLシミュレータなど)で動作検証を行うことができる.