つながるワイヤレス通信機器の開発手法(9) ――開発・検証環境を整備する
実機を使わず,送信側,RF回路,アナログ回路を上述のシステム・シミュレータ上でモデリングすることもできる(図7).この方式のメリットは,実機では実現が困難な電波伝搬路のモデル化が可能になることである.例えば電波の場合,周りの反射物の形や位置,材質によってマルチパスの影響が変わってくる.モデムの性能を定量的に評価するためには,いつも同じ環境を作り出して測定する必要がある.電波暗室を使ってこの同じ環境を実現するなど,検証に時間と多くのコストがかかることになる.その点,システム・シミュレータを使用すれば,いつでも同じ環境を作り出すことができ,正確な検証が容易になる.
〔図7〕システム・シミュレータを利用した検証
システム・シミュレータを使う場合のメリットは,実機では実現が困難な電波伝搬路のモデル化が可能になることである.