つながるワイヤレス通信機器の開発手法(9) ――開発・検証環境を整備する
●ブロック図でシステムを表現する
信号処理システム・シミュレータの特徴は,以下のとおりである.
- ブロック図によって機能を表現する
- 機能ブロックを階層的に取り扱える
- 異なる設計抽象度のデータをいっしょに取り扱える
これらのツールは,設計抽象度の高いモデルを取り扱うので,高速なシミュレーションを行える.また,通信に特化したビヘイビア・モデル(例えばマルチパスのモデルやノイズ生成ブロックなど)が多数用意されている.そのため,簡単な通信系であれば,数日程度で検証することができる.
さらに,ユーザがパラメータを与えてやることで,機能をカスタマイズできるビヘイビア・モデルが用意されている場合もある.中には,こうしたモデルからC言語やSystemC,HDLのソース・コードを生成する機能を備えているツールも存在する.この機能を使えば,抽象度の高いモデルから回路やソフトウェアを自動生成できる.