車載LANと42V電源系の動向 ――高性能化,高機能化が求められる車載機器の開発
1.排ガス規制がすべての始まりだった
1975年に排気ガスの規制などを定めた「マスキー法注1」が施行されたところから「カー・エレクトロニクス」の歴史が始まりました.排気ガスを低減させるには,エンジンで燃料を完全燃焼させる必要があります.そこで,それまで機械的に制御していた点火のタイミングや空気と燃料の混合比などをマイコン(マイクロコントローラ)によって制御する必要性が出てきました.それ以前は,ラジオなどの簡単なアナログ回路にのみ半導体が使用されていましたが,1980年前後から自動車の「電子化」が進み,半導体の利用が急激に加速しました(図1).
マイコンを搭載することで,各自動車メーカが車の差異化をソフトウェア(プログラム)により行うことが容易になりました.このような背景から,車載用の高性能なマイコンが求められており,この要求に対応するため32ビット・マイコンの採用が加速しています.今後は,64ビット・マイコンの採用も検討されています.近年では,地球温暖化の問題から「ゼロ・エミッション(排気ガスをいっさい生成しないこと)」を目指した新規の技術が開発されており,さらに高精度な制御が行われています.
注1;1970年に制定された米国の大気清浄法.自動車の排気ガスに含まれる一酸化炭素や炭化水素などの有害物質を5年間で約1/10にすることなどを定めた.
〔図1〕クルマの中はマイコンでいっぱい
ほんの20数年前までは,ラジオなどの簡単なアナログ回路のみに半導体が使用されていた.現在,高級車ではマイコンだけでも100個以上の部品が使われている.