半導体メーカ各社が車載機器関連部品をこぞって展示 ――CEATEC JAPAN 2002
2002年10月1日~5日,幕張メッセ(千葉県幕張市)にて,映像・情報・通信の複合展示会「シーテック ジャパン 2002(CEATEC)」が開催された.多くの半導体メーカが車載機器関連の部品をこぞって展示した.また,フル・カラーの無機ELディスプレイなどが,来場者の注目を集めていた.
●75MIPSのDSPを二つ内蔵したカー・オーディオ用プロセッサ
STマイクロエレクトロニクスは,処理性能が75MIPSの24ビットDSPを二つ内蔵したカー・オーディオ用プロセッサ「TDA7505」を展示した(写真1).一方のDSPは,FM/AM再生やCD圧縮,Dolby-B,MP3デコードなどの処理を行う.もう一方のDSPは,音声処理やITS(Intelligent Transport Systems;高度道路情報サービス)向けデータ処理,エコー/ノイズ・キャンセルなどを行う.これらの処理のほとんどはソフトウェアとして実装されている.同社が組み込みソフトウェアを提供するが,アプリケーションによってはユーザ独自のプログラムを実装することもできる.なお,RDS(ラジオ放送波の帯域内に交通情報などを挿入して放送するシステム)の処理はハードウェアで構成されている.
音声入力は,5チャネルのアナログ入力のほか,ディジタル音声入力としてSAI(Serial Audio Interface)やSPDIF(Sony/Philips Digital Interface)に対応している.メインCPUとDSPおよびRDSの間のインターフェースは,I2CまたはSPIである.2003年に出荷される予定.
[写真1]TDA7505を搭載した基板
カー・オーディオ用プロセッサ「TDA7505」は,処理性能75MIPSの24ビットDSPを2個内蔵している.
●車載用Bluetoothモジュールは来年リリースか?
ミツミ電機は,車載用Bluetoothモジュールを展示した(写真2).モジュールの使用温度範囲は-40~+80℃である.Bluetooth Class2(通信距離10m)に対応している.インターフェースには,UART,USB,PCMを採用している.また,RF COMMのプロトコル・スタックを搭載しているため,必要に応じてHandset ProfileやSerial Port Profileなどを実装できる.2003年内の出荷を予定している.
一方,アルプス電気は,RFからHCI(Host Controller Interface)までのプロトコルを内蔵したHCIモジュール「UGXZ1(Class1対応)」と「UGXZ2(Class2対応)」,およびL2CAP(Logical Link Control and Adaptation Protocol)やRF COMM,SDP(Service Discovery Protocol)などのプロトコル・スタックを内蔵したBluetoothモジュール「UGZZ(Class1対応)」を展示した(写真3).UGXZ1の外形寸法は10mm×13.5mm×2.0mm,UGXZ2は10mm×10mm×1.9mm,UGZZは32mm×15mm×3.0mmである.いずれの製品もサンプル出荷が始まっている.
また,参考出展として車載用のHCIモジュールを展示した(写真4).従来のHCIモジュールに対して振動や湿度・温度に対する信頼性を向上させ,メモリの容量を増やした.Hands Free Profileは内蔵されていない.
●42V系の電源システム向けMOSFETモジュール
東芝は,42V系の電源システム向けMOSFETモジュールを展示した(写真5).6素子内蔵のモジュールは,耐圧が80V,ドレイン電流が200A,ON抵抗が2.2mΩ(標準値)である.2素子内蔵のモジュールは,耐圧が80V,ドレイン電流が600A,ON抵抗が1.1mΩ(標準値)である.内部素子の動作温度については150℃まで保証しているという.2素子内蔵のモジュールはサンプル出荷をすでに開始しており,2003年春から量産を開始する予定である.6素子内蔵のモジュールの出荷開始時期は未定.
また,同社は耐圧75VのパワーMOSFETも展示した(写真6).パッケージはTFP(thin flat package)であり,高さは最大3mm.ドレイン電流やON抵抗についての詳細な情報は得られなかった.出荷開始時期も未定.
このほかにも,42Vに対応したMOSゲート・ドライバなどの開発を計画しているという.
●MOST規格に対応したコネクタ
ミツミ電機は,MOST規格に対応したLAN用コネクタ「CAM-35」と「CAM-36」を展示した(写真7).CAM-35は電気通信用ピンを40本,光通信用ピンを4本備えている.一方,CAM-36は電気通信用ピンを4本,光通信用ピンを2本備えている.これらのピン数はMOST規格で定められている.22.6Mbpsのデータ転送速度に対応する.2003年7月~8月にサンプル出荷を開始する予定.