マイクロ波帯のMEMS応用技術の動向 ――RF MEMSは課題を克服し,無線機器の性能向上に貢献できるか?

水野皓司

tag: 半導体 実装

技術解説 2002年10月29日

 RF MEMSは,これから無線通信機器に搭載されることが期待されている.ここでは,まずRF MEMSスイッチの特徴やそれらの応用回路を紹介する.また,実用化についての課題も説明する.  (編集部)

 マイクロマシン技術が注目されています.近年センサをはじめとして非常に多くの分野で応用され,急激に進歩しています.情報通信分野やIT(information technology)分野においても,各種の応用技術が研究・開発されてきています1)19).マイクロマシン技術は,最近MEMS(メムス)(micro electro mechanical systems)技術と呼ばれることが多く,高周波(RF)帯のMEMS技術は「RF MEMS」と呼ばれています.

 MEMS技術の一般的な特徴として,次のようなことが挙げられます.

1)大量生産が可能なデバイス製作法である
2)微小な3次元構造の製作が可能である
3)製作されたMEMSデバイスはリニアに動作する
4)Si(シリコン)系回路との整合性が良い

 3)についてもう少し詳しく説明します.例えばスイッチなどの場合,従来の半導体デバイスでは非線形性を用いていましたが,この場合,信号が余分な周波数成分に変換され,それだけ損失が増えてしまいます.これに対してMEMS技術を応用したメカニカルなスイッチでは機械的にほぼ完全なON/OFFが行われるため,効率が良くなります.さらに4)のように,MEMSデバイスの材料としてプロセス技術の進んでいるSiを用いることが多いので,ベースバンド系の信号処理に使用されるCMOS回路との混載が容易です.

 図1は,本誌2001年11月号で紹介されたRFトランシーバの構成です20).この図の中のf01_03.gifで示されているブロックが,将来RF MEMS技術で製作され,トランシーバ全体の小型化,また高性能化につながると期待されています.

 本稿では,まず,近い将来(この3年以内に)実用化されると言われているRF MEMS技術を利用した高周波スイッチとその応用回路について述べます.その後,そのほかのマイクロ波帯応用技術について,現状と今後の実用化に関する課題などについて説明します.

f01_01.gif
〔図1〕RFトランシーバの構成
f01_03.giff01_04.gifの部分は外付け部品である.f01_03.gifで示されているものについては,現在MEMS化が進んでおり,集積化またはコストダウン,性能改善を実現しようとしている部品である.

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