マイクロ波帯のMEMS応用技術の動向 ――RF MEMSは課題を克服し,無線機器の性能向上に貢献できるか?
●RFスイッチはカンチレバー型と薄膜型に分かれる
RF MEMSの構造は,大きく分けて「カンチレバー型」と「薄膜型」に分かれます.それぞれの典型的な寸法は数百μm角です.接触の形式としては,金属どうしが接触することによりDC(直流)もON/OFFできる,いわゆる「オーミックな接触」と,誘電体薄膜による容量を用いた「キャパシティブな接触」があります.後者は,高周波のみのスイッチです.
1)カンチレバー(片持ちはり)型スイッチ
図2に,2種類のカンチレバー型スイッチの構造を示します.はり部は,主にSiO2膜で形成されており,長さは100μm程度です.スイッチ全体は,Si基板上に形成されています.ON/OFFの動作に静電力を利用するものが多く,このほかにピエゾ素子,あるいはバイメタルを利用するものなどがあります.現在のところ,静電力を利用したスイッチの動作電圧は20V~62V,その動作速度は1μs~40μsです10).
(a)線路組み込み方式の片持ちはり型スイッチ (b)米国Massachusetts Institute of Technology,Lincoln Laboratoryで開発されたカ