携帯機器間のデータ転送を簡単かつ高速に ――既存USBの課題を克服するための追加規格
●新しいケーブルとアダプタ
OTG 1.0追加規格により定義された新しいコネクタと新しい接続構成を利用するには,新しいケーブル類が必要となります.OTG 1.0追加規格で現在定義されているのは,ケーブルとアダプタです.新しいケーブルは3種類あります.
- Mini-AプラグとMini-Bプラグの間のケーブル
- Mini-Aプラグと標準Bプラグの間のケーブル
- Mini-Aプラグとキャプティブ・ケーブル
2000年10月のECNで,Mini-Bプラグと標準Aプラグの間のケーブルを定義したので,コネクタの組み合わせはすべてそろっています.
OTG 1.0追加規格では,アダプタという特殊なケーブルが定義されました(図5).新しく定義されたのはMini-Aレセプタクルと標準Aプラグの間のアダプタと,標準AレセプタクルとMini-Aプラグの間のアダプタです.この「AからA」という組み合わせは本来のUSB 2.0規格では禁止されているのですが,持ち歩かなければならないケーブルの数を減らすためにOTG 1.0では許されています.しかし,信号の特性に悪影響を与えないように,アダプタの長さは150mm以下,アダプタによる遅延は1ns以下,VBUS線とGND線の総抵抗値は70mW以下と規定されています.
〔図5〕「アダプタ」と「ケーブル」の違い
OTG追加規格でいう「ケーブル」と「アダプタ」の違いは,両端に付いているコネクタの形状(オスかメスか)にある.つまり,ケーブルはその両端にプラグ(コネクタのオス側)が付いている.アダプタは一方の端にプラグ,もう一方にレセプタクル(同メス側)が付いている.