携帯機器間のデータ転送を簡単かつ高速に ――既存USBの課題を克服するための追加規格
2.OTGで何が変わるか ─機械的な変更─
OTG 1.0では新しいコネクタが定義されました.これは従来のUSBに対する機械的な変更点です.コネクタ変更への動きは,2000年10月20日に発行された本来のUSB規格のための「Engineering Change Notice(ECN)」から始まりました.その中で,周辺機器向けのMini-Bプラグ(コネクタのオス側)とレセプタクル(同メス側)が,USBコネクタのラインナップに加わりました.
●1台2役のための新しいコネクタの定義
今回のOTG 1.0追加規格では,Mini-Bプラグに加えて以下に示す三つの新しいコネクタを定義しています.これらの新しいコネクタは,従来のUSBの標準コネクタよりずいぶんと小さくなりました(図3).
- Mini-ABレセプタクル
- Mini-Aプラグ
- Mini-Aレセプタクル
Mini-ABレセプタクルは,ホストの役目も周辺機器の役目も果たせる機器「デュアルロール・デバイス(dual-role device)」のためのコネクタです.また,Mini-Aレセプタクルは,ホスト側のアダプタとしての使用だけが許されています.
これらのコネクタのうち,もっとも重要なものはMini-ABレセプタクルでしょう.前述したように,従来のUSBコネクタは方向性を持っています.これは「使い勝手」という点から見ると,ユーザがケーブルを不正に接続できないので,一つの利点といえます.しかし,この考えかたをホストとしても周辺機器としても機能する機器に当てはめると,そのような機器には二つのレセプタクルを用意しなければならないことになります.
〔図3〕 小さくなったUSBの新コネクタ
(a)はMini-Aプラグと標準Aプラグとの比較(断面図)を,(b)はMini-Bプラグと標準Bプラグとの比較(断面図)を示している.どちらも従来のUSBの標準コネクタに比べて,ずいぶん小さくなっていることがわかる.