携帯機器間のデータ転送を簡単かつ高速に ――既存USBの課題を克服するための追加規格
4.OTGを使いこなすには まずOTGをよく知ること
OTG 1.0追加規格は,規定のレビュー期間を経て,2001年12月18日にリリースされました.この追加規格を開発したOTG委員会は,業界のさまざまな分野の代表者で構成されています.ですから,OTGの規格はすでにコネクタ・メーカやIPベンダ,半導体メーカ,機器メーカなどから広く支持されています.たくさんの会社が規格を支えていることから,OTG対応の機器がもうすぐ市場に出ると予測されています.
OTG 1.0追加規格が発行されたので,OTG委員会はこれからOTG 1.0の支援と普及に励む方針です.すでに米国,アジア,欧州ではOTG 1.0を開発者に説明するセミナを開いており,今後もそのような活動に力を入れるでしょう.
しかし今後の活動として,まだ開発中の規格が残っています.OTG対応機器が必要な仕様を満たしていることを確認する規格認定試験の仕様書を,現在OTG委員会は手がけています.また,OTG機器タイプを定義する規格の開発もこれからの課題です.
OTGの特徴を完全に理解して各メーカの製品に正しく取り入れるためには,規格開発に参加して規格の開発者と交流を深めることが最良の方法でしょう.「USBについてもっと深いところまで知りたい」,または「規格書をダウンロードしたい」という方は,USB-IFのホームページ(http://www.usb.org/)にアクセスしてください.また,OTG 1.0追加規格やその解説書をダウンロードしたり,OTGについてのイベントの情報を得たり,OTG委員会のメーリング・リストに加わったりするためには,OTGホームページ(http://www.usb.org/developers/onthego/)をご参照ください.ただし,このページへのアクセスは,USB-IF会員として登録されている会社に限ります.
現在,加速し続けている携帯型電子機器の普及とともに,データ通信に関する新しい課題が次々と現れています.これらの課題のある程度の部分はUSB On-The-Goによって解決されます.OTG追加規格はすでに策定が完了しており,次世代の携帯機器を支える準備が整っています.
David Luke
米国Cypress Semiconductor社
◆筆者プロフィール◆
David Luke. 1991年,米国Brigham Young University卒業.電子工学と日本語を専攻.1993年,電気工学修士号を取得.米国Hewlett-Packard社を経て,1995年に米国In-System Design社に転職.同社は2001年9月,米国Cypress Semiconductor社が買収した.USB-IFのMass Storage Class Working Groupの議長を務めており,On-The-Go委員会にも参加している.現在7個目のUSB対応LSIの設計を手がけている.