スマホからコックピットまで,ゲームの世界に没入できる周辺機器が続々 ―― 東京ゲームショウ2012

北村 俊之

 2012年9月20日~23日,家庭用ゲームの展示会である「東京ゲームショウ2012」が,幕張メッセ(千葉県美浜区)にて開催された(写真1).スマートフォンやSNS(Social Networking Service),オンライン・ゲームの普及とあいまって,家庭用ゲームの世界は大きな広がりを見せ,「いつでも」,「どこでも」,「誰でも」,「誰とでも」楽しめるものとなっている.本展示会は,ゲームを通じて言語の壁を越え,世界中の人がつながっていく,というコンセプトのもと,「GAMEで笑顔がつながっていく。」をテーマに掲げた.20日と21日がビジネス・デイ,22日と23日が一般公開日である.主催は一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会

 

写真1 東京ゲームショウ 2012の会場風景

 

 

 日本をはじめとする19の国と地域から,国内126,海外83(合計209)の企業・団体が出展した.出展総小間数は1,609小間,出展タイトル数は1,043作品,総来場者数は223,753人(4日間の合計人数)と,いずれも昨年より増加した.

 

●スマートフォンがゲーム専用機に変身

 シンテックは,スマートフォンを装着するだけで,ゲーム専用機のように使えるコントローラ「SMACON(スマコン)」を展示した(写真2).専用のスマートフォン装着クリップでスマートフォンを本コントローラに装着することにより,画面が指で隠れることなくスマートフォン用のゲーム・コンテンツを楽しめる.Android(推奨OS:2.3以上)を搭載したスマートフォンおよびタブレットに対応している.iPhoneやiPadには非対応.現在,本コントローラ対応のゲーム・コンテンツは10タイトル.

 

写真2 シンテックの「SMACON(スマコン)」

 

 本コントローラとスマートフォンの間はBluetoothで通信するため,クリップと本コントローラを切り離した遠隔操作も可能.通信距離は最大10m.さらに,スマートフォンを専用コードでテレビなどに接続し,ゲーム・アプリをテレビ画面に表示して遊ぶこともできる.

 

●ヘッド・マウント・ディスプレイで虚実が入り混じる

 「センス・オブ・ワンダーナイト プレゼンツ ヘッドマウントディスプレイ没入快感研究所 powered by Sony」というブースでは,ソニー製の3D対応ヘッド・マウント・ディスプレイ(以下HMD)「HMZ-T2」に独立行政法人理化学研究所 藤井チームが開発した実験装置「SRシステム(Substitutional Reality System:代替現実システム)」を連動させたHMD「PROTOTYPE-SR」を展示した(写真3).SRシステムとは,体験者にあらかじめ現実と同じ空間で撮影された「過去」の映像を「現実」の映像と差し替えて視聴させることで,過去と現実の区別をつかなくさせてしまうものである.

 

写真3 HMD没入快感研究所の「PROTOTYPE-SR」

 

 本HMDは,頭の動きを把握するシステム(ヘッド・トラッキング・システム)とライブ・カメラを搭載する.本HMDとヘッドフォンを装着した体験者は,ライブ・カメラからのリアルタイム出力映像と,過去に同じ位置から撮影した360度映像コンテンツを切り替えながら視聴する.過去映像の撮影には,360度全方位の映像を撮影できるパノラマ・ビデオ・カメラを用いており,ヘッド・トラッキング・システムと再生映像を連動させることで,過去映像を体験しているときにも,向いた方向に応じた映像を見ることができる.この「過去」と「現実」の映像を切り替えて視聴することにより,その区別がつかなくなり,非現実的な映像にリアリティを感じられるようになるという.ベースとしているHMD「HMZ-T2」は,2012年10月に発売予定.「PROTOTYPE-SR」は参考出品であり,今後の発売予定はない.

 

●書斎がコックピットに! オリジナル機体も構築可能

 ムナゾヲは,個人ユーザ向けのフライト・シミュレータ用コックピット「AstroWings-Cu パーソナルフライヤー」を展示した(写真4).本コックピットを使うと,Microsoft社のゲーム・ソフトウェア「フライト シミュレータ X」や,PS3対応のフライト・ゲーム・ソフトウェアを使って,リビングや書斎,書庫などで操縦練習や対戦を楽しむことができる.Windowsパソコン,PS3,Xbox360に対応しており,USBケーブルでパソコンやゲーム機に接続する.

 

写真4 ムナゾヲの「AstroWings-Cu パーソナルフライヤー」

 

 本コックピットの大きな特徴は,機体の動きにあわせてシートが動くのではなく,シートの動きで機体をコントロールする点にある.つまり,シートの根元部分がコントローラとなっており,身体を傾けることで,機体を前後左右に動かすしくみとなっている.市販のフット・ペダルや操縦桿,ジョイスティックなどと組み合わせることで,ユーザのオリジナルの機体を製作でき,より臨場感のある操縦体験を楽しむことができる.

 これまで同社は,訓練用の高価なコックピットを販売していた.今回の製品はコストダウンと小型化・軽量化(150cm×70cm×120cm,約65kg)に重点を置いた,同社初の個人ユーザ向けの製品である.今回展示した「タイプCu」のほか,より大型の「タイプL」や,ドッグ・ファイト用の「タイプC-Combat(開発中)」などのラインナップを用意している.価格は未定だが,標準セットで20万円,オプションを入れて30万円程度を想定しているという.

 

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