工場で使われる検査用カメラやFAパソコン，高速伝送ボードなどが一堂に ―― 国際画像機器展 2010レポート

　2010年12月8日～10日の3日間，画像処理機器やマシンビジョン関連機器についての技術展示会「国際画像機器展 2010」が，パシフィコ横浜（横浜市西区）にて開催された（写真1）．画像処理技術は，工場における外観検査や位置合わせ，寸法測定，文字やコードの読み取りなどに利用されており，検査精度や処理速度の工場，高精細化，効率化，コスト・ダウンなどが課題となっている．また，最近ではセキュリティ機器やITS（高度道路交通システム），ロボットなどにも利用されている．

写真1　会場受付の様子

　本展示会は今年で32回目を迎えるが，今回は医療用機器をテーマにした「メディカル・ゾーン」も新設された．主催は日本画像・計測機器協議会．同時開催は「New Media Technology 立体Expo2010」，「先端光テクノロジー展2010」．「ViEW2010 ビジョン技術の実利用ワークショップ」や「2010国際画像セミナー」も開催された．

●背面照射型CCDを使った4ライン近赤外カメラを展示

　アド・サイエンスは，英国e2v technologies社製の4ライン近赤外カメラ「ELiiXA 4S」を展示した（写真2）．本カメラは背面照射型CCDを採用しており，高感度が必要とされるアプリケーションに利用される．例えば，冶金や木材，紙などの外観検査，半導体ウェハや液晶ディスプレイなどの表面検査，OCR（光学式文字読み取り）やバーコード読み取りなどに使われる．

写真2　アド・サイエンスが展示した「ELiiXA 4S」

　CCDセンサのライン・レート（水平走査周波数）は18kHz．自動タップ・バランス補正，フラット・フィールド補正，ライン間バランス補正などの機能を備えている．モードとして，トリガ・モードと出力モードを用意する．双方向スキャンや空間補正の機能も備える．

●原色モザイク・フィルタを採用して色再現性を改善

　東芝テリーは，1/2.8型CMOSセンサを搭載したフルHD（1920ピクセル×1080ピクセル）出力のカラー・カメラ「CSDW2M60CM28」を展示した（写真3）．本カメラの映像出力にはDVI-Dを採用しており，直接モニタに接続できる．フレーム速度は50.54フレーム/s．プログレッシブ走査とインターレース走査の両方に対応する．

写真3　東芝テリーの「CSDW2M60CM28」

　原色モザイク・フィルタを採用しており，色再現性に優れている．パソコンからカメラを制御するためのコネクタを装備する．電子ラインは，縦，横それぞれ2ライン表示に対応．また，自動アイリス・レンズ用端子を備えており，DC方式の自動アイリス付きレンズを使用できる．2011年1月に出荷を開始する予定．

●画像取り込み用GビットEthernetポートを四つ装備

　イーグローバレッジは，画像取り込み用のGビットEthernetポートを四つ備えるFA（Factory Automation）パソコン「EV-1000C」（台湾ADLINK Technology社製）を展示した（写真4）．すべてのGビットEthernetポートがLANケーブル経由で電力を供給するPoE（Power over Ethernet），およびGビットEthernetのジャンボ・フレームに対応する．例えば4台のGビットEthernet対応カメラをLANケーブルのみで接続できる．通信距離は最大100m．

写真4　イーグローバレッジが展示した「EV-1000C」

　このほかの周辺インターフェースとして，二つのCOMポート（RS-232/RS-422/RS-485），四つのUSBポート，16チャネルのディジタルI/O，PS/2（マウス，キーボード），アナログVGAポートなどを備えている．CPUとして2.26GHz動作のIntel Core 2 Duo P8400，メモリとして2GバイトのDDR3メモリを搭載する．またストレージとして，2.5インチSerial ATAインターフェースを備える8Gバイトの工業用SSD，および2Gバイトの工業用CompactFlashメモリを装備する．最大5Gの振動に耐えられる．

　日本語版のWindows XP Embeddedがプリインストールされている．FBWF（File-based Write Filter）の機能により，SSDへの書き込みを制限可能．SSDの耐久性やシステム・ファイルの破損を気にせず，連続稼働させられる．