新人研修は「模型ロケット」《指導者・管理者編》 ――実験的新入社員研修の舞台裏(SWEST Survayor-Hamana-2)

大西秀一,服部博行

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技術解説 2006年9月14日

●火薬を使用するので「安全確保」が前提

 会社から最優先で出された注文は,「安全に実施すること」でした.小型とはいえ,模型ロケットは数百m上空まで飛ぶ能力を持っています.推進力には火薬を使用しているので,当然のことながら「火」を扱います.会社の業務として行うためには,安全は絶対条件だったわけです.もし事故などが発生した場合,会社としての社会的責任は大きく,同時に社会的信頼を失うことにもなりかねません.会社から出された注文には,「(米国などで規定されている)モデル・ロケットの打ち上げ安全コードを遵守する」,「研修の指導者レベルが打ち上げ技術を習得する」ということで対処しました.

 まずはテストを行う予定でしたが,50m四方の広さを持つ打ち上げに最適な場所を探すことだけでかなり苦労しました.公園は基本的に花火禁止の場所が多く,河川敷だと打ち上げたロケットが水没して回収できない可能性があります.陸上の開けた場所を探すのに,かなりの時間を費やしました.

 初回の打ち上げは,新入社員抜きの有志数名で行いました(下掲のコラム「飛行時間と高度の測定,そして映像撮影」を参照).初打ち上げで早速ロケットをロスト(消失)してしまうありさまで,早くも壁の高さを感じました(写真1).ロストの理由は上空の風でした.地上ではあまり感じなくても,上空ではかなりの風が吹いており,回収用のパラシュートが風に乗ってしまうのです.おそらく500m以上流されたと思います.打ち上げに関する知識はひととおり頭に叩き込んでいたのですが,知識だけではなく経験が必要であることもわかり,新入社員にもかなりの数の試射を行わせないと技術の習得どころではないな,と不安になりました.ちなみに模型ロケットのエンジンは3本で1,500~2,500円となかなかの出費になります.ですから,以後の打ち上げには慎重にならざるをえませんでした.

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写真1 確認のための打ち上げで,いきなりロストするとは...

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