新人研修は「模型ロケット」《指導者・管理者編》 ――実験的新入社員研修の舞台裏(SWEST Survayor-Hamana-2)

大西秀一,服部博行

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技術解説 2006年9月14日

 このような状況を一変させたのが,新入社員たちにとっての最初の打ち上げです.ロケットには計測装置を搭載するため,搭載重量や飛距離を測ることは重要です.管理者チームは新入社員チームが計測する前に実験しており,ある程度の情報はすでに持っていました.今度は新入社員が計測装置と同じ重量で,どの程度の飛距離が出るかを計測しなければなりません.当日の準備や運営はすべて新入社員が行います.しかし,この計画が甘く,風のない朝に打ち上げなくてはいけないのに,準備にお昼近くまでかかっていました.挙句の果てにペイロードを固定せず,真横にロケットを飛ばしてしまい,貴重なロケットをなくしてしまったのです.

 当日,筆者らが新入社員の行動を見て感じたことは,「責任者がいない」,「チームとしての協力がない」,さらに,「ロケットを打ち上げることへの熱意がない」ということでした.先輩エンジニアから「打ち上げろ」と言われたから打ち上げている,という考えを感じ取りました(下掲のコラム「やりたいこととできること(wantとcanの違い)」を参照).このようなとき,管理者はどのように行動するべきなのでしょう? 筆者らには最適な方法はわかりませんでしたが,中途半端な思いで研修を受けてもらうのは,会社にとっても新入社員にとっても,不幸でしかありません.

 Hamana-2の実行委員には申しわけないと思いつつ,熱意のない研修を続けるわけにはいかないので,研修の指導責任者に中止したい旨を告げました.同時に,新入社員たちにしごとに対する姿勢を説明し,中止するかどうかを新入社員どうしで決めるように指示を出しました(右掲のコラム「新入社員の研修に対する望ましい姿勢」).このとき,おそらく初めて新入社員どうしが真剣に議論し,全員の意見を自分たちでまとめることができたようです.結論としては,Hamana-2の研修を継続することになりました.

 これ以降,新入社員の間の情報共有や,ほかのメンバの担当範囲へのフォローなどがなされるようになり,通常の業務で見られる「チームによる開発」が行われるようになりました.ここでも,管理者や指導者がいかに熱意をもって物事に立ち向かえるかが重要だと思いました.

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