新人研修は「模型ロケット」《指導者・管理者編》 ――実験的新入社員研修の舞台裏(SWEST Survayor-Hamana-2)
●SWESTの活動に感謝
さて,Hamana-2ですが,最後の追い込みはたいへんな作業となりました.いつまでたっても,安定した基板ができ上がらず,どうやってもデバイス・ドライバが完成しません.時間は過ぎていきます.SWEST直前の徹夜作業と早朝の打ち上げをこなし,何とか前日にデータを取得できる状況になったものの,当日,まさかのデグレード(ソースの上書き).ソフトウェアの構成管理の重要性まで実感できる研修となったのです.
新入社員研修は目的を達成することなく終了しました.最後まであきらめなかったことは評価できるとしても,達成感はなく,新入社員たちにとっては明らかに不完全燃焼だったと思います.結局,Hamana-2.5というステップを設けて継続研修となりましたが,ここからの取り組みは自己啓発として実施してもらいました.
今回のHamana-2は,新入社員が立ち向かうには難しすぎる課題だったかもしれません.ソフトウェアの開発だけでなく,ロケットや基板,OS,アプリケーション・ソフトウェアなど,幅広く対応しなくてはなりませんでした.このように幅の広い対応は,ソフトウェアを主体とする会社(ソフトウェア・ハウス)ではあまり経験できないことだと思います.それゆえ,管理者も経験が不足し,適切な指導ができなかったのではないかと反省しています.しかし筆者の立場から考えると,今回のHamana-2は新入社員の教育"だけ"が目的ではありません.筆者らの会社はソフトウェアは開発していても,(事業としての)ハードウェア開発の経験はありません.また,設立して10年にも満たない会社なので,指導経験の豊富なエンジニアも足りません.
今回のHamana-2プロジェクトは,これまでの筆者らでは研修できないことを,新入社員だけでなく,指導者らも含めて,(ボランティアの)SWESTメンバ,ひいては組み込み業界全体に指導していただいたのだと思っています.
参考・引用*文献
(1) Surveyor Project,Hamana-2のホームページ,
http://www.ertl.jp/SWEST/Surveyor/Hamana-2/
(2) SWEST組込みシステム技術に関するサマーワークショップのホームページ,
http://www.ertl.jp/SWEST/
(3) 組込みシステム開発技術研究会(CEST)のホームページ,
http://www.ertl.jp/CEST/
(4) ロケット製作日記 ヴィッツ社員によるロケット開発日誌,
http://www.witz-inc.co.jp/dev3/HAMANA2/blog/index.php
おおにし・しゅういち
はっとり・ひろゆき
(株)ヴィッツ