民生用LSIへの搭載を想定した低コストの1回書き込み型メモリ・コアを開発 ――オンチップOTPROM、セキュリティ、アナログ・トリミングなどに利用可能
● メモリ・セルはMOSトランジスタ
フラッシュ・メモリの場合,フローティング・ゲートに電荷を注入し,トンネル効果を利用することで'1'と'0'の値を格納します.一方,XPMでは,メモリ・セルにチャネル長が短いMOSトランジスタを使用しています.これは,プログラムされていない(書き込み前の)状態ではコンデンサ(開回路)として働きます.短い電圧パルスを用いてプログラムするとゲート酸化膜が破壊され,トランジスタは抵抗(閉回路)のようにふるまいます(図1).また,通常動作時に余計な漏れ電流が流れることはありません.XPMメモリ・ブロックの書き込みに必要な電流は小さく,1Mビットのメモリをほんの数s(秒)でプログラムできます.
XPMアレイにおいて,選択された行と列のビット線とワード線に正しくバイアスをかけると,その行と列に対応したメモリ・セルがプログラムされます.同じように,プログラムされた情報を読み取る動作では,アレイ内の選択済みの行および列と,未選択の行および列に異なる電圧をかけます.これにより,アレイ上のどのセルがプログラムされているかを識別します.
図1 XPMのメモリ・セル
プログラム電圧の短いパルスがトランジスタの酸化膜を破壊し,開回路(コンデンサ)から閉回路(抵抗)に変わる.