民生用LSIへの搭載を想定した低コストの1回書き込み型メモリ・コアを開発　――オンチップOTPROM、セキュリティ、アナログ・トリミングなどに利用可能

　従来の製造プロセスにいくつかの工程を追加しただけでは，チップ（CMOS論理LSI）上にフラッシュ・メモリやEPROM，EEPROMを組み込むことはできません．そのため，こうした不揮発メモリ・コアの供給は，最先端の標準CMOS論理プロセスのリリースに対していつも遅れがちです．残念ながらこのような問題が存在するため，民生機器向けLSIにこうした不揮発メモリ・コアを気軽に搭載することができません．というのは，こうした用途では製品コストを引き下げるため，最先端のプロセスを利用する必要があるからです．

　不揮発メモリ・コアのもう一つのタイプであるROMは安価で小型ですが，別の問題を抱えています．マスクROMは，チップの製造過程で「ハード・ワイヤード的に」プログラムする必要があるため，後で情報を書き換えたり，派生品展開に対応することができません．つまり，ROMにはフラッシュ・メモリのような柔軟性はありません．

　筆者ら（米国Kilopass Technology社）は低コスト，セキュリティの確保，小型化を実現した新しいタイプのワンタイム・プログラマブル（1回書き込み型）の不揮発メモリ技術「XPM」を開発しました．以下では，このXPMについて解説します^注．

 注1；XPMについての国内の問い合わせ先は，丸紅ソリューション（http://www.msol.co.jp/），TEL03-5778-8551．