車載アプリケーション・ソフトウェアの移植性を高める通信仕様とその実装 ――下位層を意識せずECU間のインターフェイスを実現する「OSEK COM」
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車載ネットワークの発展
TOPPERSプロジェクトの会長である名古屋大学の高田広章氏は,自動車制御ネットワークの発展について,表A-1のような段階でとらえることができると発言されています.現在の車のステアリングを考えてみます.例えば,第2段階で実現されるステアリング補助機能では,操作する部位(ハンドル)と実際に操舵する部位(ステアリング・ギア)が物理的なパイプ(ステアリング・コラム)で接続されており,たとえ補助機能が障害により停止しても,最低限のステアリング機能は動作します.しかし,X-by-wireシステム(従来のメカニカルな機構を電子制御とネットワークで代替するシステム)になると,物理的な接続がないため,通信が停止した場合はステアリング機能が動作しないことになります.このように,通信機能は自動車の基本機能部位にまで浸透し始めています.
今後,車載ネットワークへの期待はさらに高くなることが予想されます.とくに,X-by-wireシステムなどは,ネットワークが自動車の基本機能を担うこととなり,高速な通信速度と高い信頼性が求められます.
表A-1 車載ネットワークの発展段階
段 階
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内 容
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第0段階 |
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第1段階 現世代ネットワーク :CAN通信など |
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第2段階 現在,この段階の実用 化が始まったところ |
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第3段階 FlexRay通信はこの 段階を目ざしている |
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