車載アプリケーション・ソフトウェアの移植性を高める通信仕様とその実装 ――下位層を意識せずECU間のインターフェイスを実現する「OSEK COM」
● 車載ソフトウェア開発のプラットホームを目ざす
TOPPERS/OSEKカーネルが目ざすのは,自動車制御プラットホームのリファレンス実装です(図8).そのため,現世代の要求事項はもちろんのこと,次世代の車両開発に必要となると思われる機能を積極的に開発していきたいと考えています.今後は,以下に示すようなカーネルや機能の開発を行う予定です(図9).
- 次世代カーネル――次世代カーネルは,メモリ保護機能,時間保護機能,マルチプロセッサ機能,コンポーネント機能から構成される
- 通信機能――現世代通信であるCANやLINに対応した通信ミドルウェアを開発する予定.また,次世代通信としてはFlexRayへの対応を検討中.FlexRayへ対応するためには,OSEK/VDXが定める「Time-Triggered OS(OSEKtime)」に類似したOSの開発,FT-COM に類似したCOMモジュールの開発が必要
- 用途別カーネル――自動車には多種多様な機能が要求されており,それらを実現するためには特定機能に特化したカーネルを必要とする場合が多く想定される.それら特定用途向けのカーネルを開発する予定
図8 TOPPERS/OSEKの目ざすもの
筆者らと名古屋大学で,積極的にソフトウェア部品を含めたリファレンス・デザインの開発を行い,この開発成果をTOPPERSプロジェクトにコントリビュートする.さらにJasPar(Japan Automotive Software Platform Architecture) に提案して同業界団体のリファレンスOSとなり(現時点では改善すべき点が多々ある),最終的には世界標準を目ざす.図で具体的に説明すると,最下部の四角はJasParを含み,国内の標準化を目ざすものである.そして,左側の台形はJasParとAUTOSARを含み,国際標準化を目ざしている.