フラッシュ・メモリの高速化技術と最新の不揮発性メモリの動向 ―― フラッシュの次を担うのは、フラッシュかそれとも...

柴田茂則,太田豊

tag: 半導体 電子回路

技術解説 2008年7月31日

3.フラッシュの次世代を狙う不揮発性メモリの動向

 表3にSRAM,DRAM,フラッシュ・メモリや,将来的にそれらを置き換えていくと期待されている各種メモリの特性をまとめました.FeRAM(強誘電体メモリ),MRAM(強磁性体メモリ),PRAM(相変化メモリ),ReRAM(抵抗変化型メモリ),SONOS(Silicon/Oxide/Nitride/Oxide/Silicon構造を持つチャージ・トラップ型不揮発性メモリ),ナノ・クリスタル・メモリなどがありますが,技術の成熟度の面では現在のところフラッシュ・メモリとはかなりの差があります.残念ながら当面フラッシュ・メモリを置き換えることはないと思われます.量産に入るまでには,メモリ固有の故障モードのモデリングなど,信頼性技術面での検討も必要です.

hyo03_01.gif

表3 次世代不揮発性メモリの特性比較

 しかしこれらはフラッシュ・メモリにはない優れた特徴を持っています.価格が多少高くてもその特徴が生かせるアプリケーションが見いだせれば,その領域からフラッシュ・メモリやSRAM,DRAMを置き換えていくことになると予想されます.そのようにして微細化や量産技術の進歩,現在の技術課題が克服されることにより価格が下がれば,フラッシュ・メモリを置き換えるメモリに成長する可能性があります.

 新しい不揮発性メモリの多くは日本を中心として研究されてきています.これらが将来一大産業となって,日本の半導体産業がメモリ分野で復活する起爆剤となることが期待されています.

 フラッシュ・メモリ,FeRAM,MRAM,PRAM,ReRAMの特徴を以下に解説します.

(1)フラッシュ・メモリ

 NAND型,NOR型を含むスタック・ゲート型フラッシュ・メモリやSSTスプリット・ゲート型フラッシュ・メモリ,SONOSは現在量産中です.技術的に最も成熟しており,微細化,多値化による低コスト化,用途による分化(NAND,NOR)が進んでいます.図13にSONOSの例を示します(3).これらを出荷している半導体メーカも多く,大手シリコン・ファウンドリでもプロセスを持っています.IP(Intellectual Property)コアを購入すればエンベッデッド・フラッシュ・メモリを設計して,ファウンドリで生産することも可能です.

zu13_01.gif
図13 SONOSセルの断面模式図(3)

 汎用フラッシュ・メモリの半導体メーカとしては,NAND型ではSamsung Electronics社,東芝,NOR型では米国Spansion社,米国Intel社,SONOSでは富士通が有名です.セルはかつてのDRAMのように3次元化や積層化の検討が始まりつつあります(4)(図14).またSamsung Electronics社は38nmの先端プロセスを使ってTANOS(Si/SiO2/SiN/Al2O3/TaN)構造と呼ばれるチャージ・トラップ型のNAND型フラッシュ・メモリの研究発表を行っています(5)

zu14_01.gif
図14 3次元フラッシュ・メモリ・セル(4)

組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日