フラッシュ・メモリの高速化技術と最新の不揮発性メモリの動向 ―― フラッシュの次を担うのは、フラッシュかそれとも...

柴田茂則,太田豊

tag: 半導体 電子回路

技術解説 2008年7月31日

● フラッシュ・メモリの基本的な使い方

 システムにおけるフラッシュ・メモリの使い方は2種類あります.一つはプログラム・コード格納用(主にNOR型)で,もう一つはデータ格納用(主にNAND型)です.以下にシステム構成例を挙げ,それぞれの特徴を述べます.

zu01_01.gif
図1 フラッシュ・メモリを用いた組み込みシステムの構成例

(1)CPU+RAM+NOR+NAND

 携帯電話やディジタル・スチル・カメラ,高機能のゲーム機などのマルチメディア機器では,内部にデータ格納用のNAND型フラッシュ・メモリを持っています.プログラムはNOR型フラッシュ・メモリから直接実行するか,電源投入時にRAMに転送(シャドウイング)してから実行されます.システムの構成例を図1(a)に示します.

(2)CPU+RAM+NOR

 ディスク・ドライブや,一部のプリンタ,電話機など,単機能の機器はNAND型フラッシュ・メモリを持っていません.プログラムは,NOR型フラッシュ・メモリから直接実行するか,RAMにシャドウイングしてから実行されます.NOR型フラッシュ・メモリはマスクROMに変わることもあります.システムの構成例を図1(b)に示します.

(3)CPU+RAM+NAND

 大容量のNAND型はビット・コストが安いので,携帯電話などマルチメディア機器では(1)の代わりにCPU+RAM+NANDの構成が用いられるようになってきました.プログラムは,NAND型フラッシュ・メモリからRAMにシャドウイングして実行されます.システムの構成例を図1(c)に示します.

(4)CPU+NOR

 大きなワーク・メモリを必要としないシステムにおいては,さらに外付けのRAMを省略することも考えられます.この場合,システム構成としては図1(d)のようになります.NOR型フラッシュ・メモリのデータ転送速度がシステム性能に直接影響します.できるだけ高速なNOR型フラッシュ・メモリを使いたいところです.

 携帯電話やディジタル・スチル・カメラなどのマルチメディア機器では,ビット単価の安い大容量のNAND型フラッシュ・メモリの搭載が適しています.これらの用途ではもともと大容量のRAMを搭載しています.シャドウイングに必要な大容量DRAMによるコスト増加はほとんどありません.このため大容量のデータを扱うシステムでは,(3)の構成に集約されていくものと考えられます.

 一方,各種モジュールや家電製品,ディスク・ドライブなどでは,フラッシュ・メモリに格納する内容の大半がプログラムです.容量は1Mビットから16Mビットのものが中心となります.市販されているNAND型フラッシュ・メモリの多くは,容量が数百Mビット~数Gビットであり,しかもコントローラやシャドウイング用のRAMの領域が必須になります.大容量のデータを扱わないシステムではNAND型を使うコスト・メリットはありません.このため今後も(2)CPU+RAM+NORおよび(4)CPU+NORの構成が使われ続けることになると予想されます.

 また,NOR型フラッシュ・メモリにはパラレル・タイプ(以下NOR型パラレル・フラッシュ・メモリ)とシリアル・タイプ(以下NOR型シリアル・フラッシュ・メモリ)があります.

 NOR型シリアル・フラッシュ・メモリはピン数が少ないため,基板実装のコストが節約できます.接続されるCPUのピン数も少なくなるので,CPU上のI/Oの数も節約できます.これによりCPUのパッケージ・コストやチップ面積を削減できる可能性があります.NOR型パラレル・フラッシュ・メモリとNOR型シリアル・フラッシュ・メモリのパッケージ寸法と形状を図2に,少ピン・パッケージのNOR型シリアル・フラッシュ・メモリの例を写真1に示します.

zu02_01.gif
図2 パラレル・フラッシュ・メモリとシリアル・フラッシュ・メモリ

ph01_01.jpg
写真1 少ピン・パッケージのNOR型シリアル・フラッシュ・メモリの例

組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日