今,フラッシュFPGAが求められている理由 ――10年近い紆余曲折を経て,ようやく日の目を見た"大器晩成"技術
1992年に,Intel社がプロダクト・ターム構造でSRAMを記憶素子に用いた「FLEXLogic」を製品化しました.このFLEXLogicは,SRAM CPLDブロックとフラッシュ・メモリ(またはUVEPROM)によるメモリ・ブロックを1チップに集積し,フラッシュ・メモリ(またはUVEPROM)に書き込んだ回路情報をチップ内部でSRAMに転送することにより,見かけ上,不揮発CPLDとして動作するものでした(図5).Altera社やLattice社の間接型フラッシュFPGAの先駆けとも言えるデバイスです.
このFLEXLogicには,SRAMの採用によって高性能で柔軟性の高いCPLDを作るねらいと,Intel社が1988年に製品化したフラッシュ・メモリをプロモートするねらいがあったと思われます.しかし,商業的にはあまり成功せず,1994年にIntel社はFLEXLogicを含むPLD事業をAltera社に売却してしまいました.Altera社ではこれを「FLASH Logic」と名称を変えて再発売しましたが,しばらくして販売を中止しました.
1990年代中ごろには,Intel社のほかにも,いくつかのメーカでフラッシュ・メモリを記憶素子に用いたPLD/FPGA製品の開発が進められました.その多くは不揮発CPLDにフラッシュ・メモリを採用したもので,米国Atmel社,米国Cypress Semiconductor社,Xilinx社(XC9500)などから製品化されています.これに対して,フラッシュ・メモリを採用したFPGA製品の開発を進めていたのは,検証系のEDAツール・ベンダとして知られていたZycad社でした.
CFB数 | 4~16 |
マクロセル数 (Dフリップフロップ数) | 40~160 |
等価ゲート数 | 2,500~10,000ゲート |
最大RAM容量*3 | 5,120~20,480ビット |
最大I/O数 | 40~160 |
*2 書き換え可能なフラッシュ・メモリ版と,書き換えできない1回書き込みのPROM版がある.
*3 CFBをすべてRAMとして使用した場合のRAM容量.