今,フラッシュFPGAが求められている理由 ――10年近い紆余曲折を経て,ようやく日の目を見た"大器晩成"技術
書き換え可能という点では,SRAMのようにほぼ無制 限の書き換えができるわけではありません.フラッシュFPGAの書き換え回数は多くても1万回程度に制限されます.しかし,通常はFPGAの回路情報をそれほど頻繁に書き換えることはありません.実用上は,数百回程度の書き換えに対応できれば十分な場合が多いでしょう.
不揮発性という特徴から,電源投入後すぐに動作可能です(インスタントON).また,外付けROMがないので,回路情報の不正な読み出しを防止できます.とくに近年では,FPGAの回路情報が知的財産として活用・再利用されるようになり,回路情報に対するセキュリティの要求が厳しくなってきています.
このような利点は以前からよく知られており,プロダクト・ターム構造のCPLDや小規模PLDでは,バイト消去型EEPROMやフラッシュ・メモリ(一括消去型EEPROM)などの不揮発メモリが記憶素子として用いられてきました.しかし,大容量・高速動作が要求されるFPGAでは,高密度の論理回路と不揮発メモリを混載すると製造プロセスが複雑になり,集積度を引き上げることが困難でした.そのため,多少の問題はあっても高集積化しやすいSRAMやアンチヒューズが記憶素子に用いられてきました.
フラッシュFPGAは,直接型,間接型ともにこれらの利点をもっています.