今,フラッシュFPGAが求められている理由 ――10年近い紆余曲折を経て,ようやく日の目を見た"大器晩成"技術
一般的な地上付近の用途では,このような中性子線エラーが発生する確率はほかのエラー要因に比べて低かったので,従来はあまり問題とされていませんでした.一方,高エネルギーの中性子線が多く飛来する宇宙・航空分野では,中性子線エラーの問題は早くから知られており,回路の書き換えが起こらないアンチヒューズFPGAがおもに使われていました.
フラッシュFPGAは書き換え可能ですが,記憶素子のフローティング・ゲート・トランジスタを反転させるには高いエネルギーが必要になるため,アンチヒューズFPGAと同様に中性子線エラーに対して耐性があります.直接型のフラッシュFPGAはこうした利点をもちます.一方,SRAMを用いる間接型のフラッシュFPGAではこの利点は得られません.
その代わりというわけではないのですが,間接型のフラッシュFPGAはSRAMの書き換え回数が無制限であり,高速に書き換えられるという利点があります.動作中のFPGAの回路情報を高速に書き換えて,1個のハードウェアを複数の機能に使い分けるダイナミック・リコンフィギャラブル(動的再構成可能)の用途には,フラッシュFPGAの中でもSRAMを用いる間接型が有利です.