携帯電話向け高速シリアル伝送の実力を実デバイスで評価 ――1チャネル当たり200Mbps,1.5mAを実現する"Mobile Video Interface"
● クロックの立ち上がりでデータの送受信を行う
Mobile Video Interfaceではクロックとデータをそれぞれ別々に送信します.データは,クロックの立ち上がりに同期した片エッジのクロッキング方式を採っています(図4).高速シリアル・インターフェース規格では,データの中にクロック成分を埋め込んだり,LVDSのように遅いクロックを受信側でてい倍してデータを取り込むなど,さまざまなクロッキング方式があります.本インターフェース規格では携帯電話内部のバスとして使用することが前提なので,データ転送距離が短いことから,図4のような簡単な伝送方式を選びました.
差動信号の+端子が'1'で,-端子が'0'の場合,シングルエンドでは'1'になります.例えば図4の場合なら,A,B,Cがクロックの立ち上がりです.このクロックに従って送信されるデータDn-1,Dn,Dn+1はシングルエンド信号であり,それぞれ'1','0','1'を表しています.
送信側はクロックの立ち上がりに同期してデータを出力し,受信側はクロックの立ち上がりでデータを受信します.図4を用いて説明すると,送信側においてAの立ち上がりで出力したデータDnは,Bのクロックの立ち上がりで受信側に受け取られます.
本インターフェース規格は,単方向,全二重,半二重の三つの通信方式に対応しています.ただし,半二重通信はホストからターゲットへのデータ信号DTOを1チャネル(ch1)しかサポートしていません.これは,半二重通信についてはターゲットからホストへの転送データ量が少ない場合を想定しているからです.
全二重通信では,1チャネルのデータを転送する場合,物理信号はホストからターゲットのクロック信号(CLK+,CLK-)とデータ信号(DTO+,DTO-)の4本,ターゲットからホストへのストローブ信号(STB+,STB-)とデータ信号(DTI+,DTI-)の4本の合計8本になります.
図4 伝送方式
図のように,クロックとデータを別々に送信する.データは,クロックの立ち上がりに同期した片エッジのクロッキング方式である.実線は差動信号のプラス側を,破線は差動信号のマイナス側を表している.