つながるワイヤレス通信機器の開発手法(12)  ──ASICを設計する(後編) CPUと周辺回路のインターフェース回路の実装

太田博之

tag: 組み込み 半導体

技術解説 2004年5月27日

●アドレス線とデータ線を共有してパターン面積を削減

 信号線を減らすため,アドレスとデータが一つのバスを共用する場合もある.図6にその1例を示す.このようなバスをマルチプレクス・バスと呼ぶ.マルチプレクス・バスは,アドレスとデータで共通の信号線を時分割で使用する.アドレス/データ・バス上にはリード,ライトそれぞれの前半でアドレスが,後半でデータが出力されるようになっている.

 データ・ビットが8ビット,アドレス空間が256バイトのCPUを使用する場合,マルチプレクスを使わないとデータ用に8本,アドレス用に8本,REとWEにそれぞれ1本ずつ,合計18本の信号線が必要になる.マルチプレクス・バスにすれば,データとアドレスが同じ線を共用するので,データ用/アドレス用に8本,REとWEにそれぞれ1本,ALE(address latch enable)に1本,合計11本ですむことになる.すなわち,マルチプレクス・バスを使用しない場合に比べて7本のピン数削減につながる.

 なお,ALEはアドレスを確定させるための信号線である.この信号の立ち上がりでバスの信号をラッチし,内部でアドレス信号として使用するようになる.図7にALE対応の回路(デマルチプレクス回路)を示す.ALEの立ち上がりでアドレスを確定させるためにフリップフロップを使用している.

 マルチプレクス・バスはLSIのピン数だけでなく,基板上のパターン面積(信号線用のパターン)を減らす効果もある.そのため,携帯電話のような小型機器に多く用いられている.ただし,マルチプレクス・バスの場合,マルチプレクスを使わない方法と比べてバス・サイクル速度が2/3~1/2程度低下することに注意が必要である.

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〔図6〕マルチプレクス・バス
アドレスとデータで共通の信号線を時分割で使用する.アドレス/データ・バス上にはリード,ライトそれぞれの前半でアドレスが,後半でデータが出力されるようになっている.ALEはアドレスを確定させるための信号線.

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〔図7〕ALEに対応した回路の例
図はデマルチプレクス回路である.ALEの立ち上がりでアドレスを確定させるためにフリップフロップを使用している.

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