つながるワイヤレス通信機器の開発手法(12) ──ASICを設計する(後編) CPUと周辺回路のインターフェース回路の実装
●CPUと周辺回路の間で信号を橋渡しするレジスタ
昔は実装面積に余裕があったので,CPUやDSPを除いた回路を一つのLSIに集積し,CPUやDSPは異なるパッケージの汎用製品を使用する場合が多かった.しかし,現在のように電話機能と100万画素以上のディジタル・カメラ機能が一つの筐体に入るようになると,実装面積に余裕がなくなり,多くの機能(CPUやDSP,そのほかの周辺回路)を一つのLSIに詰め込むような設計が行われている.
米国Texas Instruments社が携帯電話やPDA向けに提供しているアプリケーション・プロセッサ「OMAP59101)」のブロック図を図2に示す.OMAP5910では,CPUコアのARM925,DSPコアのTMS320C55x,および周辺回路が1チップに集積されている.OMAP5910に内蔵される主な周辺回路としては,LCD コントローラ,USB1.1対応ホスト/ターゲット・コントローラ,MMC/SDカード・インターフェース,キーボード・インターフェースなどがある.ちなみに,これらの機能は289ピンBGAパッケージ(外形寸法が12mm×12mmと19mm×19mmの2種類がある)に収められる.
この例のように,一つのLSIの中にCPUやDSPを組み込む場合,CPU,DSPとそれ以外の回路との間で信号のやり取りを行うための回路が必要になる.この回路は,通常レジスタ回路と呼ばれ,CPU,DSPのバス構造に合わせて設計される.
〔図2〕OMAP5910のブロック図
米国Texas Instruments社のアプリケーション・プロセッサ「OMAP5910」.OMAPは,FOMAなどの第3世代(3G)携帯電話用アプリケーション・プロセッサのデファクト・スタンダードになると言われているLSIである.