つながるワイヤレス通信機器の開発手法(12) ──ASICを設計する(後編) CPUと周辺回路のインターフェース回路の実装
●○● Column ●○●
◆数値演算回路の思い出◆
ASIC設計についてVerilog HDLのソース・コードを付けて説明しているが,ディジタル回路の場合,'1','0'の2進数表現で数値演算を行う必要がある.特に,通信回路の設計においては必須である.
筆者も10数年前にディジタル携帯電話の中核となるLSIを設計したときに,初めて2進数による数値演算回路を勉強した.当時,数値演算回路について詳細に説明している書籍が少なく,非常に苦労したことを覚えている.数学の参考書を見れば頭が痛くなり,ディジタル回路設計の書籍では説明が足りなかった.
初めて数値演算回路に触れてから数年後,本誌の姉妹雑誌であるInterfaceで畔津明仁氏が執筆された「はじめての数値演算回路設計(1990年12月号)」という特集記事を目にした.これを見て,「あー,あと数年早くこの本が出ていればなぁ」と思ったものである.
フレッシャーズの季節はもう過ぎているが,新入社員のみなさんにはぜひ,しごとが忙しくなる(あるいは責任あるしごとを任される)前に,10数年後でも役立つような知識を身に付けておいていただきたい.
数値演算回路,2進数演算というテーマは今でも古臭くなく,ソフトウェア,ハードウェア,またプログラミング言語に関係なく役立つ知識,使える技術だと筆者は思う.