つながるワイヤレス通信機器の開発手法(12) ──ASICを設計する(後編) CPUと周辺回路のインターフェース回路の実装
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◆AMBAについて◆本文にあるとおり,AMBAはARM社が提唱するシステムLSI向けの内部バスの規格である.ARM社はAMBAを普及させるために無償でライセンスを提供している.その結果,サード・パーティのIPプロバイダは,こぞってAMBAに接続可能なハードウェアIPを開発した.
AMBAには,APB(Advanced Peripheral Bus)とAHB(Advanced High-Performance Bus)の2種類のバス規格がある.AHBはCPU,メモリ周りの高速用バスであり,APBは周辺回路などの低速用バスである.また,それぞれを結ぶブリッジも用意されている(図A-1).また,ARM社はAHB/APBインターフェースを持った汎用IP(製品名「PrimeCell」)も提供している(表A)2).
さらに,ARM社のCPUコアを使っていない国内のCPUメーカの中にも,AMBA対応のブリッジを自社のCPU用に用意して多くのAMBA対応ハードウェアIPを使用できるようにしている場合がある(図A-2).
現在,広く普及しているAMBAのバージョンは2.0である.AMBA1.0のときにAHBの前進であるASB(Advanced System Bus)が提案された.ASBとAPBで構成されるAMBA1.0はあまり普及しなかったが,改良されたAPBとAHBで構成されるAMBA2.0は,サード・パーティのIPプロバイダ,ARM社以外のCPUメーカ,システムLSI開発メーカなどに広く普及した.
このAMBA2.0の発展形として,2003年6月にARM社からAMBA3.0の概要が発表された.AMBA3.0の仕様には本文中で説明している次世代バスAXIが含まれる.AXIの規格策定にはARM社だけでなく,ARM社のパートナ企業であるNECエレクトロニクス,セイコーエプソン,沖電気工業,東芝,富士通,松下電器産業,米国Motorola社,韓国Samsung社などのほか,EDAベンダの米国Cadence Design Systems社,米国CoWare社,米国Mentor Graphics社,米国Synopsys社,米国Verisity社,さらにスウェーデンのEricsson Mobile Platforms社なども参加した.
〔図A-1〕AMBA,PrimeCellを使ったシステムLSIの例
〔図A-2〕ARMコア以外でAMBAを使う場合
〔表A〕PrimeCell
APB用PrimeCell |
SDカード・インターフェース |
MMCインターフェース |
UART |
同期シリアル・インターフェース |
汎用I/O |
リアルタイム・クロック |
キーボード/マウス・インターフェース |
DC-DCコンバータ |
オーディオCODECインターフェース |
アドバンスト・オーディオCODECインターフェース |
スマートカード・インターフェース |
AHB用PrimeCell |
DMAコントローラ |
ベクトル割り込みコントローラ |
スタティック・メモリ・コントローラ |
SDRAMコントローラ |
カラーLCDコントローラ |