搭載機能が増えても車体重量を増加させないワザ ――「安全性」と「快適性」を低コストで実現する一つの解決策「LIN」
● CANのような高速性や多様性が求められない箇所に適用
LINは,分散型自動車アプリケーションにおける各ノードの制御に適したシリアル通信プロトコルです.当初,LIN規格の意図は,二つのノードにおいてAPI(application programming interface)から物理層まで互換性を持たせることでした.
LINは,CAN(controller area network)注3のような多様性と帯域幅を求めない部分で使用すれば,コスト効率の良いバス通信を提供してくれます.LINのトランシーバの仕様は,EMI(electromagnetic interference;電磁波障害)の発生についていくつかの点が改良されていますが,基本的にはISO9141注4規格に準拠しています.
LINの主な特徴を以下に示します.
- ネットワークの構成は単一マスタと複数スレーブ
- スレーブ・ノードは水晶発振子やセラミック・リゾネータなしで同期(マスタからの通信データの中に基準クロックをのせている)
- 通信方式として,すでに普及しているUART/SCIインターフェースを利用
- あらかじめ信号の伝播時間を計算できる決定論的な信号伝送
- 単一ワイヤで動作 通信速度は最大20kbps
- フレームをベースとしたアプリケーション間の相互作用(ネットワークを介して,フレームの中にあるデータをアプリケーションからアプリケーションに送り,システムとして意味のある動作を行うこと)
注3;CANはパワートレイン系やボディ系の車載ネットワークとして使用されている.通信速度は最大1Mbps. 注4;UARTを使った自動車の故障診断用プロトコル.