搭載機能が増えても車体重量を増加させないワザ ――「安全性」と「快適性」を低コストで実現する一つの解決策「LIN」

佐藤道夫

tag: 組み込み

技術解説 2004年4月 9日

 一方,このミラーのスレーブ・ノードのソフトウェアでは,大きく分けて次の二つの機能を実現します.

  • ミラー機能の実行
  • LIN通信の実行

 この場合,LINのプロトコル処理はソフトウェアで行います.その主な構成は,

  • LINフレームの処理
  • マスタから送信されるヘッダの解釈
  • レスポンスの受信と送信
  • LIN通信のエラー処理 などです.

 通信プロトコルを簡単に述べると,まずマスタ・ノードが送信したヘッダは,LINバス,トランシーバを介してマイコンのRx(受信)端子に入力されます.そのあとは"Sync Break"という信号が,これからLINのフレームが入ってくることをマイコンに知らせます.次に来る同期フィールド(信号)で同期がとられ,エラーがなければUART/SCIに入力されてポーリングか割り込みで通知します.同期の次は識別子(ID)を読み込み,それを解釈してデータを受信するのか,あるいは送信するのかを決めます.

 例えば,フォールド(格納)のスイッチが押されていることをマスタが検知し,このスイッチがミラーを折り畳む動作を要求していると判断したら,そのIDを含んだヘッダを送信します.スレーブはそれを受けて格納モータを起動させてミラーを格納します.次に,マスタは格納が終了したかどうかを確認するために,ヘッダを送信してスレーブにレスポンスを要求します.終了していればスレーブはそのデータを送ります.マスタはそのデータを受信して通信を終了します.

 マスタ側のソフトウェアは,LINクラスタのスケジュール管理やネットワーク管理,またLIN 2.0では診断などが入ってくるので,さらに複雑になります.


さとう・みちお
モトローラ(株)

<筆者プロフィール>
佐藤道夫.1982年にモトローラに入社し,半導体事業部に所属.品質保証や営業を経験し,1992年からコントロール&ネットワークのアプリケーション・エンジニアとして,ロンワークスの普及に従事する.現在は,半導体セクタートランスポーテーション&スタンダードプロダクツグループにおいて,主に車載向けのネットワークのプログラム・マネージャを担当している.

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