搭載機能が増えても車体重量を増加させないワザ ――「安全性」と「快適性」を低コストで実現する一つの解決策「LIN」

佐藤道夫

tag: 組み込み

技術解説 2004年4月 9日

● 自動車メーカは「事故を回避するシステム」に注力

 話は変わりますが,現在の自動車業界の大きなトレンドは自動車の安全に関係した電子制御システムです.それはなぜかと言うと,自動車事故の問題があるからです.2003年の自動車事故による国内の死亡者数は,約7,000人でした.前年と比べると減少傾向にあります.しかし,その一方で,事故発生件数は約86万件,負傷者数は約107万人と増加傾向にあります.

 自動車事故に直接関係したシステムはセーフティ・システムと呼ばれています.これには,

  • パッシブ・セーフティ(受動安全)
  • アクティブ・セーフティ(能動安全)

という,二つの大きな流れがあります.

 パッシブ・セーフティの代表的な例は,みなさんがよくご存じの「エアバッグ・システム」です.導入された当初,エアバッグ・システムはフロントだけに付いていましたが,最近はサイドにも装備され始めています.これに伴って,衝突を検出するために搭載されるセンサの数が増加しています.このため,ワイヤの問題が表面化し,セーフティ・システムでもby Wire化(セーフティ・バイ・ワイヤ)が進んでいます.

 アクティブ・セーフティとしては,最近,「プリクラッシュ・セーフティ・システム」が導入され始めています.一般的な例としては,ミリ波レーダを使用して前方の障害物を検知し,その情報をもとにシートベルトのゆるみを巻き取ったり,ブレーキ・システムを作動させて,衝突時の被害を軽減するシステムが搭載されています(写真1)

 自動車事故の原因は運転者に負うところもあります.しかし,社会的な責任として,各自動車メーカはさまざまな機能を自動車に搭載することで,事故を回避することに注力しています.この努力には敬意を払わなければいけないと,筆者は思っています.

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(a)トヨタ自動車のセルシオ(オプション装着車) (b)ミリ波レーダ部
写真1  プリクラッシュ・セーフティ・システムの例
トヨタ自動車の「セルシオ(写真はC仕様.メーカ・オプションとして搭載)」など,プリクラッシュ・セーフティ・システムを搭載した自動車はすでに市販されている.セルシオの場合,(b)のようにフロント・グリルの裏に設置したミリ波レーダによって物体を認識する.前走行車への追突や路上の障害物との衝突の危険性が高いと判断すると,ドライバに通知したり,ブレーキをかけたり,シートベルトを巻き取ることで,乗員の衝突被害を軽減する.

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