組み込みソフトウェア・テスト・クライシスの「傾向と対策」 ――「品質」をつねに念頭に置きながらソフトウェアを開発する
ここでは組み込みソフトウェアの品質確保の問題について解説する.組み込みソフトウェアは,エンド・ユーザからの要求だけでなく,システム設計やハードウェア設計の要求も反映させなければならない.そのため,組み込みソフトウェアの開発は複雑になり,そのスケジュールはしばしば遅れがちである.ソフトウェア開発者は,テスト担当者と協力しながら,ソフトウェアの品質をつねに意識して作業を進める必要がある. (編集部)
組み込みソフトウェアの開発では,要求元からのコンセプトや要求を受けて,システム設計によって選択された技術をもとに,システムを実現するためのソフトウェアを作成します.組み込みソフトウェアに対する要求には,「機能そのものに関する要求」と「機能を実現するハードウェアの制御方法に関する要求」があります.
組み込みソフトウェアの開発では,製品の市場投入期間の短縮が重視されます.しかし,図1に示すような構図があるため,組み込みソフトウェアに対する要求の決定はどうしても遅れる傾向にあります.
〔図1〕組み込みソフトウェアの要求の構図
エンド・ユーザからの要求,システム設計からの要求,ハードウェアの制御要求を受けて,組み込みソフトウェアを開発する.それぞれの要求の整合性のチェックはソフトウェア開発の中で行われる.