はやぶさのソフトウェア開発者,テストを語る ―― ソフトウェアテストシンポジウム 2011東京(JaSST'11 Tokyo)レポート

北村 俊之

tag: 組み込み

レポート 2011年2月 3日

 2011年1月25日~26日,「ソフトウェアテストシンポジウム 2011東京(JaSST'11 Tokyo)」が目黒雅叙園(東京都目黒区)にて開催された(写真1).主催は特定非営利活動(NPO)法人 ソフトウェアテスト技術振興協会(ASTER:Association of Software Test Engineering)およびJaSST'11 Tokyo 実行委員会.

写真1 会場受付の様子

 

 ソフトウェアの重要性が語られる一方で,品質や信頼性,安全性の確保が追いついていないと言われている.これを解決するために必要なのが,ソフトウェア・テストの工程である.2003年に始まった本シンポジウムは,東京以外にも大阪(2005年~)や北海道(2006年~),九州(2007年~),四国(2008年~),東海(2009年~)と全国規模で開催するシンポジウムへと成長しており,2011年2月には新潟での開催も予定されている.また本シンポジウムでは,産・学におけるソフトウェア品質やテストに対する取り組みをより活発化できるよう,単にテストに関する情報入手にとどまらず,参加者同士の意見交換や交流の場を提供している.例えば,研究論文や事例発表などのセッションやチュートリアルのほかに,ライトニング・トークスやクイズ・セッション,パネル・ディスカッションなどの企画が用意されている.また,現場で役に立つテスト・ツールや手法の紹介セッション,展示などを通して,ベンダからの情報入手や意見交換も可能となっている.

●目的はソフトウェア・テストに関する認識を高めること

 開催初日に,ソフトウェアテスト技術振興協会(ASTER)の理事長である西 康晴氏(電気通信大学)がオープニング・セッションを行った(写真2).2006年に設立されたASTERは,ソフトウェア品質向上に関する教育や調査研究,普及振興事業を行っており,これらの事業を通じて,ソフトウェア品質向上に関する社会教育の推進,および専門能力の開発支援を実現している.最終的には,社会全体で品質が高いソフトウェアが流通し活用されることで,高度情報化社会の発展に寄与することを目的としているという.主な活動としては,(1)ソフトウェア・テストに関する認識を高めるためのJaSSTの開催,(2)基本的なテスト技術に関するセミナの開催および支援,(3)ソフトウェア・テストに関する多様な考え方を導入するための海外のベスト・プラクティスの紹介,(4)先端的なテストの技術やプロセス,改善モデルなどの技術交換,などを行っている.

写真2 オープニング・セッションで講演する西 康晴氏

 

●テストに「ベスト・プラクティス」なし

 続いて,基調講演のスピーカであるLee Copeland氏が登壇した(写真3).米国Software Quality Engineering社に所属する同氏は,ソフトウェア開発やテスト,プロセス改善に関してコンサルティング,講演,著述など35年の経験を持ち,数多くの企業や非営利法人の技術的・経営的要職についている.同氏の著作物としては,例えば『はじめて学ぶソフトウェアのテスト技法』がある.また世界的にも著名なソフトウェア・テストの商業カンファレンス「STAR Conference」などのプログラム委員長としても知られている.

写真3 基調講演を行うLee Copeland氏

 

 同氏は「Testing Trends and Innovations」と題した基調講演で,テストにおける「プロセス」と「アジャイル開発」,「教育」,「技術とツール」という視点から,それらがもたらす変化,および「プロセス改善」に関するトレンドとイノベーションについて講演した.

 プロセスの視点では,「Context-Driven School」についての考察の重要性を指摘した(写真4).これは,「コンテキスト(状況)を考慮に入れてテストを行う」ことを意味する.どのようなソフトウェアでも,その開発の背景や機能,使用目的,使用環境などは異なっており,その点を考慮してテストを行うべきだという.つまり,ベスト・プラクティスが「どのようなものにでも適用できる手法」であると定義されるなら,テストにはベスト・プラクティスはないという.またテストもサービスの一つの形態であるとするなら,「Context-Driven」を考慮に入れ,最適な形で柔軟なテストを行うことを推奨する.対象となるソフトウェアを十分に理解した上でテストを行うべきであり,また迅速にテストを行わなくてはならない局面では,テスト・ケースの構築を待たずにテストに着手することも重要であるという.

写真4 「Context-Driven」について

 

 次に,重要な考え方として「Cheking vs. Testing」を挙げた(写真5).ここでは,チェックとは「既知のものを確認する行為」であり,テストとは「未知のもの,新しいものを探索する行為」であるというMichael Boltpn氏の考えを引用して解説を行った.テストとは学習の一つであり,それはテスト担当者(テスタ)の頭の中であらゆる予測を立てながら行うものであるとした上で,ツールの中で行われるものではなく,自動化できるものでもないと述べ,ここにテストの本質があると強調した.

写真5 「Cheking vs. Testing」について

 

●G-mailやSkype経由でテストを勉強しあう「The Weekend Testers」

 こうしたテストに対する基本的な姿勢を確認した上で,同氏は最近のイノベーションともいうべき「Crowdssourced Testing」,「The Weekend Testers」,「Exploratory Testing」などの手法について解説を行った.この中で発想としてユニークだったのが「The Weekend Testers」というコミュニティ活動である(写真6).これは,週末に異なる企業のテスタがネット上でG-mailやSkypeを利用して連絡を取り合い,共通のソフトウェアのテストを1時間程度行うというものである.一種のテストの勉強会であり,自らが習得するべき必要なスキルを得るための試みである.これはインドで始まった活動だが,スキル向上の機会を企業から与えられるのを待たないという姿勢が評価され,現在欧米にも浸透しつつあるという.

写真6 「The Weekend Testers」について

1  2  »
組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日