車載マルチメディア・ネットワーク「MOST」の設計ノウハウ ──ロバスト性の高いシステムを構築するためのハード/ソフト開発術
マイクロコントローラやディジタル信号処理プロセッサ(DSP),A-Dコンバータ,D-Aコンバータなどとの接続方法としては,図4に示す三つの方法があります.
1)SP,CPともにシリアル接続
ソース・ポート,コントロール・ポートがともにシリアル接続の場合,ストリーミング・データはすべてシリアル接続のソース・ポートを介してアクセスします.NICの内部レジスタへのアクセスはシリアル接続のコントロール・ポートを通じて行います.この接続方法の特徴は,音声などのストリーミング・データの入出力をI2S(The Inter-IC Sound)バスやSPDIF(Sony Philips Digital Interface)を介して外部のDSPやD-Aコンバータ,A-Dコンバータと直接接続できる点です.アンプやCDプレーヤなどのオーディオ機器が主体のアプリケーションに適した接続方法です.
2)SPはパラレル接続,CPはシリアル接続
ソース・ポートを8ビットのパラレル・ポートとして接続し,コントロール・ポートについてはシリアル接続にする方法があります.扱うデータによって,パラレルのソース・ポートには次の3種類のモードがあります.
- パラレル同期モード:ストリーミング・データのみ
- パラレル非同期モード:パケット・データのみ
- フィジカル・モード:ストリーミング・データとパケット・データの両方
NICチップの内部レジスタなどはシリアル接続されたコントロール・ポートを使ってアクセスします.ネットサービス(詳細は後述)を実装するマイクロコントローラと,ストリーミング・データやパケット・データを処理するDSPやプロセッサが異なる場合,それぞれ別々に接続することができます.
3)SP,CPともにパラレル接続
ソース・ポートとコントロール・ポートを共通の8ビットのパラレル・ポートで接続する方法があります.ソース・ポートについては,パラレル同期モード,パラレル非同期モード,フィジカル・モードでデータをアクセスすることができます.NICの内部レジスタのアクセスも同じ8ビットのパラレル・ポートを通してコントロール・ポートにアクセスします.ストリーミング・データやパケット・データの処理とネットサービスを同じプロセッサで実行する場合,共通のポートを通してアクセスできるというメリットがあります.
〔図4〕 接続形態
NICチップとマイクロコントローラ,DSP,D-Aコンバータ,A-Dコンバータなどとの接続方法は3種類ある.コントロール・ポート(CP)をパラレル接続する場合は,ソース・ポート(SP)は必ずパラレル接続になる.