車載マルチメディア・ネットワーク「MOST」の設計ノウハウ ──ロバスト性の高いシステムを構築するためのハード/ソフト開発術

大木紳一

tag: 組み込み

技術解説 2003年10月27日

●ノードどうしの接続を簡単にする階層化

 個々のMOST装置の設計というよりもシステム全体の設計に関する留意事項として,ファンクション・ブロックの階層化があります.MOSTを使用することで物理的な配線の複雑さを排除することができます.その一方で,アプリケーション・レベルの通信については階層化の概念をうまく利用しなければ,従来のような複雑なリンクが発生してしまいます.階層化とは,図9に示すようにマスタ・ファンクション・ブロック(特定の機能群の管理を専門に行うファンクション・ブロック)を置いて集中的にファンクションを管理することを言います.

 スレーブ・ファンクション・ブロックは,つねに自分のマスタ・ファンクション・ブロックのみと通信し,スレーブ・ファンクション・ブロックどうしは通信を行いません.つまり,スレーブは自分のマスタに関する通信情報だけを持っていればよく,それ以外のスレーブの情報を持つ必要はありません.

 ここでのファンクション・ブロックのマスタとスレーブは,物理的なMOST装置のタイミング・マスタやタイミング・スレーブとはまったく異なる概念です.マスタは自分の管理下にあるスレーブの情報を持っており,ほかのマスタの情報および通信手段を持つ必要はありません.そして,システムの最上位ではシステム・マスタがシステム全体の機能を管理します.マスタには,スレーブなどから通知されるイベント,あるいはシステム・マスタからのメッセージに対して,管理下のスレーブにどのようなメッセージを送信するべきかがプログラムされています.

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〔図9〕ファンクション・ブロックの階層化
それぞれのファンクション・ブロックがさまざまなファンクション・ブロックと直接通信しようとすると,接続がとても複雑になってしまう.ファンクション・ブロックを機能群ごとに分けてマスタ・ファンクション・ブロックで管理することにより,開発やデバッグ,アプリケーションの再利用が容易になる.

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