車載マルチメディア・ネットワーク「MOST」の設計ノウハウ ──ロバスト性の高いシステムを構築するためのハード/ソフト開発術

大木紳一

tag: 組み込み

技術解説 2003年10月27日

1.MOSTシステムはリング・トポロジが基本

 MOSTの基本的な概念1)図1に示します.MOSTはプラスチック光ファイバ(POF)を使用したリング・トポロジを基本としたネットワークであり,データは64バイトから構成されるMOSTフレームごとに転送されます.MOSTフレームはシステムの中に一つだけあるタイミング・マスタに同期して転送されます.このMOSTフレームには,ストリーム・チャネル(同期チャネル),パケット・チャネル(非同期チャネル),制御チャネルの3種類のデータ・チャネルが含まれます.

 ストリーム・チャネルは,音声信号や映像信号など,フレームごとにつねにある帯域(バイト数)を必要とするタイプのデータの転送に使用されます.一方,パケット・チャネルは,データベースへのアクセスやTCP/IP(transmission control protocol/internet protocol)アプリケーションなどのデータ転送に使用されます.制御チャネルは,機器の操作(例えば,CDプレーヤの「プレイ」や「ストップ」)などのアプリケーション・メッセージや,ネットワーク管理情報をやり取りするコントロール・メッセージを転送するために使用されます.

 ストリーム・チャネルとパケット・チャネルは,合わせて1フレーム当たり60バイト分のバンド幅を持っています.システムの要求に応じて,ストリーム・チャネルとパケット・チャネルの境界を24~56バイトの範囲(4バイト単位)で設定することができます.

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〔図1〕MOSTネットワークの概念
ネットワーク上には一つだけタイミング・マスタが存在する.タイミング・マスタのクロック・ソースにすべてのノードが同期して動作する.MOSTフレームもクロック・ソースに同期して転送される.ストリーム・チャネルとパケット・チャネルが合わせて60バイト,制御チャネルが2バイト,そのほかプリアンブルやパリティなどが2バイトの合計64バイトで1フレームが構成される.制御チャネルには1フレーム当たり2バイトが割り当てられているが,実際には16フレームからなる32バイト単位で制御メッセージが転送される.

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