車載マルチメディア・ネットワーク「MOST」の設計ノウハウ ──ロバスト性の高いシステムを構築するためのハード/ソフト開発術

大木紳一

tag: 組み込み

技術解説 2003年10月27日

●データのやり取りに必要な「アロケーション」

 装置(ノード)が音声や映像などのストリーミング・データを送信するためには,MOSTフレーム上のストリーム・チャネルに必要な帯域(バイト数)を予約する必要があります.この予約を「アロケーション」と言います.例えば,通常のCDのオーディオ・データであれば,左右それぞれ16ビット,44kHzサンプリング・レートのPCM(pulse code modulation)データになります.このときMOSTフレーム上に必要なバイト数は,16ビット×2(左右)=32ビット(4バイト)になります.つまり,4バイトからなるチャネルを確保(アロケート)すれば,CDの音声データを転送することができます.

 一度アロケートしてしまえば,そのチャネルにデータを送信するためにアービトレーションや転送要求などを行う必要はありません.また,ストリーム・チャネル上のデータを受け取るノードは,単純にそのチャネルに接続すればデータを受信できます.

 このようなアロケーション情報は,タイミング・マスタのアロケーション・テーブルによって管理されます.アロケーション・テーブルはMOSTネットワークを通して各ノードに自動的にコピーされます.

 図2に,ストリーム・チャネルのコネクションのようすを示します.ストリーム・チャネルによるデータ転送では,送信側も受信側も通信対象をアドレスで指定する必要はありません.データを転送するためのチャネルに割り当てられたコネクション・ラベルを頼りに必要なチャネルに接続し,データの送信あるいは受信を行います.これに対してパケット・チャネルや制御チャネルはストリーム・チャネルと違い,明確に通信対象をアドレスで指定する必要があります.

 このようにMOSTを採用した装置には,音声などのストリーミング・データのみを扱うものや,データベースへの頻繁なアクセスを伴うもの,あるいは制御メッセージしか扱わないものなど,さまざまな形態があります.装置が扱うデータ・タイプによって,ハードウェア,ソフトウェアの設計は大きく異なりますが,基本的なノウハウには多くの共通点があります.

f02_01.gif
〔図2〕ストリーム・チャネルのアロケーション
ストリーム・チャネルによるデータ転送では,送信側も受信側も通信対象をアドレスで指定する必要はない.データを転送するためのチャネルに割り当てられたコネクション・ラベルを頼りに必要なチャネルに接続し,データの送信あるいは受信を行う.

組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日