0.4mm角RFIDチップ「ミューチップ」の設計技術 ――回路,アンテナ,実装,セキュリティ技術を組み合わせる
筆者ら(日立製作所)は,0.4mm角と非常に小さいRFIDチップ「ミューチップ」を開発した.RFIDとは,無線を利用する自動識別技術である.読み取り装置が発生する電波を受信し,その電磁波エネルギを使って回路を駆動し,識別番号などの情報を送信する.ここでは,本RFIDチップ開発の背景や回路構成,電気的特性,アンテナとの接続(実装)上のくふうなどについて解説する. (編集部)
非接触ICカードの普及に伴って,RFID(radio frequency identification;無線を用いた自動識別)技術に注目が集まっている.これは決して目新しい技術ではない.最近になって急速に普及が進んでいる大きな要因は,半導体技術が進展し,現実的な価格で機能を提供できるようになったためであると考えられる.
非接触ICカードは人間が所持するものである.一方,RFID技術をベースとする「ICタグ」という応用もある.これは荷札のようなもので,ものに貼りつけたり,埋め込んだりして使用する.ICタグはこの世の中のあらゆる物品を識別できるようにすることを目的としており,今後のユビキタス社会の重要な構成要素として注目を集めている1)~3).この技術の利用範囲は広いが,例えばインターネット技術と組み合わせて,有価証券や各種金券類の偽造防止,認証技術などに利用しようという動きが出てきている.
筆者ら(日立製作所)はICタグ向けのRFIDチップ「ミューチップ(写真1)」を開発している4).これは世界最小のRFIDチップである.本稿では,本RFIDチップの特徴や回路構成,電気的特性,アンテナとの接続技術などについて解説する.
tag: RFID