0.4mm角RFIDチップ「ミューチップ」の設計技術 ――回路,アンテナ,実装,セキュリティ技術を組み合わせる
●メモリ回路の負荷電流は1μA以下
本RFIDチップのメモリ容量は128ビットと小さく,メモリ回路自体がコンパクトであり,それに伴って消費電力も小さくなっている.CMOSメモリ回路の消費電力は,メモリ素子を駆動するメモリ・ラインの駆動電圧振幅や寄生浮遊容量,動作周波数によって決まると考えられている.本RFIDチップの場合,広い温度範囲で動作させるため,メモリ・ラインの駆動電圧は通常の論理ゲートと同じになっている.また,メモリ・レイアウトはコンパクトであり,寄生浮遊容量の低減が図られている.
本RFIDチップのメモリ回路負荷電流に対する電源電圧依存性を図8に示す.動作周波数を一定とすると,メモリ回路の消費電力には,メモリのデータ・パターンに対して依存性があることがわかる.メモリの出力が"10"の繰り返しの場合と"11"の繰り返しの場合の2通りについて評価を行った."11"の場合のほうが"10"の場合よりもメモリ周辺回路の動作(繰り返し)周波数が大きくなっているため,負荷電流は大きくなっている.ワースト条件下でも負荷電流は1μA以下であり,消費電力は十分に低い.本RFIDチップのディジタル回路部はメモリ回路そのものであり,その消費電流は一般の時計回路並みである.
〔図8〕メモリ回路の特性
本RFIDチップのディジタル回路部はメモリ回路そのものであり,消費電力を抑えるように設計されている.動作周波数を一定とすると,メモリ回路の消費電力には,メモリのデータ・パターンに対する依存性があることがわかる.とはいえ,消費電力は1μA以下と非常に低い.
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