0.4mm角RFIDチップ「ミューチップ」の設計技術 ――回路,アンテナ,実装,セキュリティ技術を組み合わせる
●レーザ・トリミングによって共振を調整
ミューチップにアンテナを接続し,トランスポンダ(RFICタグ)として評価した結果を図9に示す.アンテナは,図10に示すようにストレート形状で,その中にアンテナ・スリットと呼ばれるインピーダンス・マッチング用の溝形状が存在する.このアンテナ・スリット長を変えることによって,アンテナのインピーダンスとRFIDチップの入力インピーダンスを調整している.
300mWの読み取り装置を使って最大通信距離を評価した結果,図9に示すように300mmとなった.このときのアンテナの利得は13dBiである.これは,有価証券の偽造防止などの応用では十分な通信距離である.実験に用いたトランスポンダの厚さは0.15mmである.アンテナ平面形状は,図9の右上のように長方形の短冊形状であり,厚さも紙に挿入できるほど薄い.アンテナ・スリットは一種の共振調整回路である.このアンテナ・スリット長をレーザ・トリミングなどによって変更することで,製造ばらつきの補正などにも対応できる.
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