0.4mm角RFIDチップ「ミューチップ」の設計技術 ――回路,アンテナ,実装,セキュリティ技術を組み合わせる

宇佐美光雄

tag: 組み込み 半導体 実装

技術解説 2003年6月27日

●レーザ・トリミングによって共振を調整

 ミューチップにアンテナを接続し,トランスポンダ(RFICタグ)として評価した結果を図9に示す.アンテナは,図10に示すようにストレート形状で,その中にアンテナ・スリットと呼ばれるインピーダンス・マッチング用の溝形状が存在する.このアンテナ・スリット長を変えることによって,アンテナのインピーダンスとRFIDチップの入力インピーダンスを調整している.

 300mWの読み取り装置を使って最大通信距離を評価した結果,図9に示すように300mmとなった.このときのアンテナの利得は13dBiである.これは,有価証券の偽造防止などの応用では十分な通信距離である.実験に用いたトランスポンダの厚さは0.15mmである.アンテナ平面形状は,図9の右上のように長方形の短冊形状であり,厚さも紙に挿入できるほど薄い.アンテナ・スリットは一種の共振調整回路である.このアンテナ・スリット長をレーザ・トリミングなどによって変更することで,製造ばらつきの補正などにも対応できる.

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〔図9〕通信距離とアンテナ・スリット長
本RFIDチップのアンテナは,右上のように長方形の短冊形状である.厚さは0.15mm以下と薄い.このアンテナには共振回路を形成するためのスリットがある.このスリット長を調整することによって,通信距離のピーク点を得ることができる.

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〔図10〕サンドイッチ・アンテナ構造
本RFIDチップとアンテナの接続には二つの電極が必要となる.筆者らは,表面と裏面に一つずつ電極を持つRFIDチップを開発した.このようなRFIDチップを利用すると,アンテナとの接続部はサンドイッチ構造になる.

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